学生アスリートの就職活動実態調査が示した苦悩と期待

このたび、株式会社電通が「学生アスリート就活まるわかり調査」を実施しました。この調査は、大学や大学院に在籍する体育会運動部に所属する学生303人を対象に行われ、就職活動に関する実態が明らかになりました。これまで特に注目されてこなかった学生アスリートの就活状況に焦点を当てたこの取り組みは、多くの興味深い結果をもたらしています。

競技活動との両立に課題を抱える学生アスリート

調査の結果、学生アスリートの多くが競技に専念するため、就職活動に十分な時間を確保できないという課題が浮かび上がりました。特に、一般的な就活期間中も多くの学生が競技活動に打ち込んでおり、4年生の76.5％は部活動の引退が就活が本格化する前であることがわかりました。さらに、インターンシップへの参加率は、一般の就活生と比較して約20ポイントも低いことが明らかになりました。

昇進・出世意欲は高いが不安を抱える学生

学生アスリートの61.1%が「昇進や出世」に意欲を示しており、これは他の就活生と比較しても高い数字です。学生たちは自分の向上心や行動力を企業にアピールしたいと考えていますが、同時に「何から始めれば良いのか分からない」といった就活に関する悩みも抱えています。具体的には、自身のキャリアイメージや向いている職業が不明瞭といった不安が多く、これらの悩みは多くの学生が共通して感じています。

先輩のサポートが重要

調査によると、学生アスリートにとって企業を知る上で最も影響を及ぼした存在は、部活動の先輩や同期でした。このことから、彼らは身近な先輩から具体的な情報収集を行う傾向があり、特に就活の各ステップで先輩のアドバイスが大きな役割を果たしています。情報収集の方法が一般の就活生とは異なることも、彼らの就職活動の特性と言えるでしょう。

企業の期待と求められる施策

企業は、学生アスリートが持つ競争心や勤勉さに期待を寄せていますが、学生アスリートの実態を十分に理解し、それに基づいた採用活動が求められています。例えば、競技活動のオフシーズンにあたる2年生の早い段階から学生アスリートにアプローチをすることが重要です。また、キャリア教育に関連した具体的なコンテンツを用意し、学生たちと接点を持つことが企業にとって有効な手段となるでしょう。

まとめと今後の展望

学生アスリートの就活は、彼らの競技活動に与える影響や、企業とのミスマッチが生じやすい現状を逆手に取る必要があります。企業や教育機関は、学生たちに対する理解を深め、実際の就職活動の過程をサポートする施策を充実させることが成功のカギとなるでしょう。本調査は、今後の就職活動において重要な意味を持つ情報として企業や学生に活用されることが期待されています。