新リース会計基準に対する企業の実態と今後の課題とは
新リース会計基準に関する現状を探るために、国内企業の経理担当者の意見を集めた調査が行われました。調査を実施したのは、固定資産管理に特化した株式会社プロシップです。2027年4月から適用される新基準に向け、企業の対応状況とその課題を明らかにすることが目的です。
調査の概要
プロシップは2025年9月に経理担当者を対象に、「新リース会計基準の取り組みと課題」に関するアンケート調査を実施しました。調査には1,017人が参加し、上場企業や資本金5億円以上の未上場企業の経理担当者が対象となっています。
調査の結果は、8割の企業が新基準の影響を認識している一方で、約6割の企業は本格的な準備に進んでいないことで、企業間での対応状況にばらつきがあることが示されました。
影響認識と準備状況
調査によれば、約8割の経理担当者が『新リース会計基準は自社に影響がある』と回答しています。具体的には、全社を挙げたプロジェクトチームが発足している企業は35.6%で、多くの企業がまだ方針の策定や準備段階にあることが浮き彫りになりました。特に、契約書の調査や会計の論点整理に難航している企業が多数存在し、制度理解から実務への適用に課題が見られます。
具体的な課題
調査の中で回答者に「方針整理段階で直面している課題」について尋ねたところ、試算の正確性や品質に不安を抱えている企業が45.4%を占めており、Excelによる試算が依存されることで課題が顕在化しています。また、会計処理に関する論点整理も難航しているとされ、現場の担当者へ制度理解を浸透させることも困難であるとの意見が多く寄せられました。
加えて、借上社宅や契約の見積もりといった実務上の判断を行う際にも悩みが多く、社内での一貫した方針が定まらない状況が続いています。会計処理上の基準適用に対する不安も多く、グループ間の取引処理やオプションの扱いについても問題視されています。
システム導入の現状
新リース会計基準へのシステム対応については、約40%の企業が新たなシステム導入や既存システムの機能追加を考えている一方で、残りの60%は手作業やExcelでの対応が続いています。ここでも企業によって対応のばらつきが見られ、规范的に進める企業とそうでない企業の間に大きな差が生じています。
外部支援のニーズ
企業が新基準に対応する際の支援としては、チェックリストやガイドラインといった具体的ツールの需要が高まっており、実務支援型の外部サポートが求められています。特に、チェックリストや試算ツールが人気で、これらは企業が内製で方針を進めるための助けとなることが期待されています。
まとめ
新リース会計基準の適用が迫っている中、多くの企業が準備に追われています。影響の大きさを認識しながらも、方針整理に苦しむ企業が多いのが現実です。特に、理由なく方針が計画の初期段階にとどまっている状況は、今後のスムーズな基準適用に支障を来たす可能性があります。早急な判断が求められる中、具体的な支援ツールの活用が、その課題解決の鍵となるでしょう。