第35回鮎川哲也賞選評と創元ミステリ短編賞発表
この秋、東京創元社の総合文芸誌『紙魚の手帖』vol.25が10月10日に発売されます。本号では、待望のミステリ作品が盛りだくさん。特に注目すべきは、二つの著名なミステリ公募新人賞の選評が掲載されることです。第35回鮎川哲也賞の選評には、著名作家の青崎有吾、東川篤哉、麻耶雄嵩氏が関与し、これまでの受賞者がどのような作品を選んできたのか、興味深い読み応えが期待できます。
さらに、創元ミステリ短編賞の選評には、大倉崇裕、北村薫、辻堂ゆめの三氏が名を連ねています。新しい才能の発掘がどのように行われてきたのかも見逃せないポイントです。これらの選評が、ミステリ文学の未来を占う重要な指針になることでしょう。
新たな受賞作とその特徴
創元ミステリ短編賞では、熱い視線が注がれる中、受賞作品が二作発表されました。まず一つ目は、ジョウシャカズヤさんの「中年交差点ゲーム」です。この物語は、主人公が飲み会の翌朝に京都の交差点で目覚めるところから始まります。その後の展開は、読者を引き込む緊張感とサスペンスをたっぷりと提供します。
もう一つは、鷲羽巧さんの「幽霊写真」です。こちらも父の七回忌を機に見つかった一枚の写真が物語の鍵となります。この写真の撮影日が、父が亡くなった翌日であるという不吉な事実が、物語を一層引き立てる要因となっております。
新連載と注目の執筆陣
今号の『紙魚の手帖』では、お待ちかねの新連載も始まります。青柳碧人さんによる『シェアハウス・ユガミ』がその名です。都心の池袋にあるシェアハウスを舞台に、奇妙な名探偵が登場するこの物語は、どこか滑稽さを漂わせながら展開されることでしょう。この新連載には、今後の成長が期待されます。
また、近藤史恵さん、櫻田智也さん、東川篤哉さんの著名な執筆陣による短編小説も見逃せません。近藤さんの「さやいんげんと彼女の記憶」は、焼きたてのパンを作る日常の中で描かれる心の機微がテーマです。櫻田さんの「迷蝶」や、東川さんの「鳥越さんは立派な被害者」も、それぞれ独自の視点を持ち、感情を揺さぶる作品に仕上がっています。
書誌情報と定期購読
『紙魚の手帖vol.25 OCTOBER 2025』は、A5判で295ページ掲載。定価は1540円(税込)で、ISBNは978-4-488-03130-5です。読者の皆様には定期購読をお勧めします。詳しくは
東京創元社の公式サイトをご参照ください。
これからのミステリ文学を支える作品が、この一冊に詰まっています。新たな才能と物語の扉を開く『紙魚の手帖』をぜひ手に取ってみてください。