システム開発における予算と納期の現実
システム開発プロジェクトにおいて、「予算」と「納期」は非常に重要な要素ですが、これらに関連するトラブルは数多く報告されています。本記事では、実際にシステム開発の経験を持つ107名を対象に行った調査結果を基に、予算超過や納期遅延の実態について詳しく解説します。
調査概要
調査期間は2025年4月16日から5月26日までの約1か月間。調査方法は、株式会社クラウドワークスを利用した自社調査です。対象はプログラマー、システムエンジニア(SE)、プロジェクトマネージャー(PM)、ディレクターなど、システム開発に関与する専門家です。結果として有効回答数は107件となっています。
予算に関連するトラブルの実態
予算に関するトラブルはどのくらい発生しているのか
調査の結果、予算に関連したトラブルや失敗がどの程度発生しているかについて聞いたところ、次のような結果が得られました。
- - よくある:7.48%
- - 時々ある:38.32%
- - あまりない:39.25%
- - 一度もない:14.95%
「よくある」と「時々ある」を合わせると、なんと45.8%にも達しており、半数近くが予算トラブルの経験者であることが分かります。しかも、調査チームの印象として、多くのトラブルが発生しているわけではないという結果が出ています。これは、予算が低すぎると契約に至らないため、統計に表れにくいという業界特有の状況も影響しているでしょう。
予算トラブルの主な原因
次に、実際に発生した予算に関するトラブルの具体的な原因を探りました。その結果、以下のような潜在的な要素が浮かび上がりました。
1.
発注者が相場を知らず非現実的な予算を提示する (22.43%)
2.
仕様が曖昧なのに予算だけ決まっていた (38.32%)
3.
開発側の工数見積もりが甘く赤字になった (21.50%)
4.
仕様変更により工数が増えたため金額が上がった (36.45%)
5.
稟議が通らず予算が縮小された (13.08%)
6.
トラブルや失敗の原因は予算に関するものではない (23.36%)
中でも「仕様が曖昧なのに予算だけ決まっていた」というケースが最も多く、予算内で納めることが難しくなってしまう要因が明らかになりました。
納期に関連するトラブルの実態
次に、納期関連のトラブルについても同様に調査しました。
- - よくある:17.76%
- - 時々ある:53.27%
- - あまりない:21.50%
- - 一度もない:7.48%
合計で70%を超える割合が納期トラブルを経験していることが分かり、予算よりもより顕著な実態が浮き彫りになりました。
納期トラブルの主な原因
ここで納期に関するトラブルの原因を見ていきましょう。以下、主な原因が挙げられます。
1.
発注者が非現実的な納期を指定された (31.78%)
2.
要件や仕様の変更が多かった (55.14%)
3.
開発側のスケジュール見積もりが甘かった (25.23%)
4.
発注者の判断・返答が遅れた (31.78%)
5.
想定外の技術的トラブルが発生した (26.17%)
6.
納期に関するトラブルや失敗の原因はない (13.08%)
最も多く挙げられたのは「要件や仕様の変更が多かった」という回答です。ここでも発注者側の判断や責任が大きく影響を及ぼすことが示されました。納期に対する柔軟性は契約後には難しいため、特にトラブルとして多く現れることが分かります。
今後の展望
今回の調査結果を通じて、予算と納期の管理がシステム開発においていかに重要で、両者が発注者と開発者の協力によって維持されるべきかが確認できました。それぞれの項目に対する意識を改め、高いコミュニケーションを図ることで、トラブルの軽減につながることでしょう。また、さらなる調査結果や事例はSELECTOで公開中ですのでぜひご覧ください。
参考リンク
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