2024年度の新規事業所立地計画に影響する主要因の分析と今後の展望

2024年度の新規事業所立地計画に関する動向調査

2024年度に実施された「新規事業所立地計画に関する動向調査」では、企業の新たな事業所立地意欲が依然として高い水準にあることが示されています。しかし、立地計画を持つ企業の割合は、4年ぶりに前年度比で減少しました。調査実施の背景には、製造業や物流業が抱える課題がいくつか考えられ、この点に着目して企業の立地動向がどのように変化しているのかを掘り下げていきます。

調査結果の概要

調査の結果、企業が立地計画を進める理由として「需要の増加への対応」が半数以上を占めました。製造業では「手狭感の解消」と「老朽化」が目立ち、物流業では「手狭感の解消」と「市場開拓」が重要な理由として挙げられています。この傾向は、企業の成長を図る上で、新たな設備や拠点が必要不可欠であることを示しています。

立地環境の選定において、企業が重視する要素として「用地価格」と「交通アクセス」が約7割を超える結果となりました。さらに、製造業では「災害リスク」や「豊富な労働力」が、物流業では「取引先・市場との近接性」が重要視されています。これらの要因が、新たな事業所の立地計画に大きな影響を与えることは明白です。

一方で、企業立地に適した産業用地の不足感が強まっており、特に物流業界においては用地取得が難航しています。このような状況を踏まえ、自治体および政府に対する企業の期待は高まっています。

今後の期待と支援策

調査によると、企業が自治体に対して求める支援策には「優遇制度の充実」や「域内外の交通アクセスの向上」、「人材確保・育成の支援」、「用地の整備・供給」が挙げられています。また、政府に対しては「資金面の援助」、「土地利用調整の円滑化」、「工業用水などのインフラ整備」に期待が寄せられています。

地域活性化のためには企業と自治体、さらには政府と連携した取り組みが不可欠です。今後、この調査結果をもとに各方面での具体的な施策の検討が進むことが望まれます。

調査の実施概要

一般財団法人日本立地センターは、全国の製造業および物流業の約2万社を対象に、毎年この調査を実施しています。2024年度の調査では、製造業15,000社、物流業5,000社を対象に、2024年8月から9月にかけてアンケートを行い、結果として2,632社からの回答を得ました。回収率は13.2%に達し、これにより中小企業の立地動向を反映したデータが得られました。

こうした調査結果は、企業の立地に関わる戦略や政策の策定に貢献する重要な情報源となります。2024年度の新規事業所の立地計画がどのように進展するのか、今後の動向が注目されます。