子どもたちの夢を探る！「大人になりたいもの」調査結果分析

第36回「大人になったらなりたいもの」調査結果

第一生命保険株式会社が全国の小学生、中学生、高校生を対象に行った「大人になったらなりたいもの」アンケートの調査結果が発表されました。この調査は36回を数え、子どもたちの夢や将来に対する意識を知る貴重な機会となっています。

調査の概要

今回は約3,000人の子どもたちが回答。各教育段階ごとに、男子・女子の人気職業を比較し、さらには保護者世代の憧れの職業も尋ねました。特に、α世代である現在の子どもたちがどのような職業を目指しているのか、その背景にはどんな影響があるのかを詳しく見ていきましょう。

小学生の部

小学生男子

小学生男子の中では、「サッカー選手」という職業に代わって「野球選手」が3位にランクインしました。これは1989年からの調査で初めてのことです。憧れの人として挙げられた名前の中には、多くのプロ野球選手が含まれ、特に大谷翔平選手が最も多く名前が挙がっています。新型コロナの影響で家にいる時間が長くなり、スポーツ観戦が再評価されたことが背景にあるのかもしれません。

小学生女子のランキングでは、「歌手やアイドル」が上昇中で、特に昨年の10位から5位に上がりました。これは『推しの子』という作品の影響も考えられ、現代の「推し活」が子どもたちの夢に少しずつ影響を与えているようです。

小学生女子

こうした傾向は、SNSの普及と相まって強まっているらしく、子どもたちの中で「アイドル」や「アーティスト」に憧れる声が増えてきています。残念ながら、歌手を挙げる子どもだけでなく、キャラクターにも憧れを抱いていることが新しい現象として注目されています。

中学生の部

中学生男子では、「Youtuber」や「ゲームクリエイター」といったデジタル関連の職業が上位にランクイン。これは、日常的にインターネットやゲームに親しむ彼らの生活背景を反映していると言えるでしょう。特に、中学生の間で「建築士」が新たにランクインした背景には、教育課程でプログラミングの必修化が影響を与えているかもしれません。

中学生女子では、「漫画家やイラストレーター」が高い人気を誇り、3年連続で2位をキープしています。その影響力はYouTubeやSNSで広がるイラスト投稿といった新しい表現手法を通じて、彼女たちの活動範囲が拡大していることにあるのかもしれません。

高校生の部

高校生男子の方では、初めて「社長/起業家」の名前が6位にランクインしました。これには「アントレプレナーシップ教育」が影響していると考えられます。自分の好きなことを仕事にする傾向が強まる中、自己実現を目指す若い世代が求める職業像とも言えるでしょう。

高校生女子では、「会社員」が5年連続で1位。その理由には「好きだから」「人の役に立ちたい」という動機が多く、この傾向は今後も変わらない可能性があります。特に看護師職の需要が高まる中、それに対する憧れはますます強くなる見込みです。

保護者世代の憧れ

今回、保護者に子ども時代の憧れの職業を尋ねたところ、父親は「野球選手」、母親は「幼稚園の先生」となりました。特にお母さんの「保育士」への憧れはウン十年にわたり変わらぬ人気を誇っており、多くの母親がこの職業に就いています。その姿を見て、子どもたちが影響を受けている様子が見受けられます。

研究員のコメント

第一生命経済研究所の研究員は、今回の調査での「α世代」について、「チャレンジ精神」と「超・デジタル」という二つのポイントに注目しました。特に「社長/起業家」職の人気は、アントレプレナーシップ教育が浸透し、自らの社会と関わる姿勢が育まれていることの表れです。

また、子どもたちがデジタルネイティブ世代として育っていることで、「YouTuber」や「ゲームクリエイター」といった新興職業が現実的な選択肢となっているのも重要です。今後の社会でこれらの世代がどのようなキャリアを選び育むのか注目が集まっています。

我々大人も、彼らの育成のあり方を見直し、共に考えていく必要があるでしょう。子どもたちが持つ可能性を広げるために、未来を見据えた教育が求められています。