グリーンスチールを使った環境への挑戦
創業118年を誇る老舗缶メーカー、側島製罐株式会社は、2023年より日本製鉄が提供する低CO2鋼材「NSCarbolex® Neutral」に基づくグリーンスチールを自社製品に全面採用しました。これは、環境意識を高める使命を持ち、製品製造におけるCO2削減を実現しようとする取り組みの一環です。
課題: 注目されなかったグリーンスチール
初めてグリーンスチールを使用した時、側島製罐はその材料がもたらす特性について期待を抱いていましたが、実際には顧客の関心を引くことができませんでした。CO2排出実質ゼロとアピールしても、顧客はその価値を見いだせず、グリーンスチールを使用した製品の販売実績は伸び悩んでいました。顧客にとっては、見た目や機能が通常の缶製品と変わらないことが大きな要因でした。
自社製品への採用と意気込み
この挑戦の中で、側島製罐は新たに「Canday(キャンディ)缶」というカラフルなスチール缶を開発しました。この缶は全23色6形状から構成され、製品展開は多彩です。側島製罐は環境への意識を高めるため、自らがリスクを負ってでもエコ製品を世の中に届ける必要があると考えました。その結果、2023年10月からCanday缶にグリーンスチールを全面採用しました。この覚悟は、同社顧客へのメッセージとして、環境に優しい選択肢があることを示しています。
CO2削減の成果
2023年10月以降、側島製罐はグリーンスチールを用いた製品の供給を開始し、2024年12月までの時点で200トン以上のグリーンスチールを調達し、合計400トンを超えるCO2排出削減を実現しました。この量は、約170万缶に相当し、全国各地のデパートや洋菓子店で利用されている点も注目です。
代表取締役の石川貴也氏の言葉
代表取締役の石川貴也氏は「エコであることが理解されなければ、ただの押し売りになってしまう。だからこそ、まずは自分たちの覚悟を見せる必要がある」と語ります。彼は缶製品の価値を少しでも多くの人に知ってもらい、使うことで環境へ意識を向けてもらいたいと願っています。側島製罐は、缶製品の信用を築くことが最終的には同社のビジョン「宝物を託される人になろう」に繋がると信じているのです。
NSCarbolex® Neutralとは
NSCarbolex® Neutralは、日本製鉄が提供する低CO2鋼材のひとつで、製造プロセスにおけるCO2排出削減量をマスバランス方式で基にした鉄鋼製品です。側島製罐は、この鋼材をCanday缶に採用することで、製造・調達のバリューチェーンにおけるCO2排出量の削減に寄与しています。また、Canday缶は90%以上のリサイクル率を誇り、さらにエコフレンドリーな製品として市場での競争力を高めています。
まとめ
側島製罐株式会社は、環境に優しい缶製品の提供を通じて、ただの缶メーカー以上の存在へと進化を遂げようとしています。グリーンスチールの採用を通じ、環境問題に対する企業の責任を果たすだけでなく、消費者の意識にも新たな風を吹き込むことを目指しています。今後の展開に注目が集まります。