新作長篇「青姫」:朝井まかてが描く自由の物語
歴史時代小説の巨匠、朝井まかて氏が最新作『青姫』を発表します。本作は徳間書店から2024年9月27日に発売予定です。これまで数々の文学賞を受賞してきた著者が、どのような新たな物語を紡いだのか、ここでその魅力を探っていきます。
あらすじ
本作の主人公は、農業と自由を求める若者、杜宇(とう)です。武士とのトラブルに巻き込まれた彼は、不思議な地である自由都市「青姫の郷」に迷い込みます。ここでは、生活の選択すらも籤によって決定される独特なルールが存在します。頭領の満姫(みつるひめ)は気ままな女性で、彼女の意志がこの地を動かしています。しかし、杜宇はその運命に抗うべく、米作りを始めることになります。
登場人物たち
物語は多彩なキャラクターによって彩られています。杜宇は自由を求め成長していく姿が描かれ、彼を取り巻く仲間たちもそれぞれ個性的です。頭領の満姫は小柄ながらも力強い存在感を放ち、護衛の武士・朔(さく)は、彼女を守るために尽力します。古くから仕える分麻呂(わけまろ)は薬師としての義務を果たしつつ、彼らの運命に絡んでいきます。
物語の背景
著者が描く「青姫の郷」は、江戸時代の初期を舞台にした自由都市で、天意に従う民の生活が詳しく描かれています。朝井氏はコロナ禍の中で作り上げたこの物語には、土地や領土の概念、そして自らの選択がどれほど重要であるかを問いかける深いテーマが含まれています。杜宇が経験する自由と束縛、選択の難しさが、物語の中核を成しています。
著者の想い
朝井まかて氏は、田植えや稲刈りの匂いに触れることで、この作品を書き上げるインスピレーションを受けたと語っています。如果、自由とは何かを考えるきっかけとなるこの物語は、読者に深い思索を促すことでしょう。また、彼が連載を終えたすぐ後に起きたウクライナ侵攻との関連性も浮かび上がり、時代を超えたメッセージが込められています。
書誌情報
- - タイトル: 青姫
- - 著者: 朝井まかて
- - 定価: 2200円(税込)
- - ページ数: 344ページ
- - 発売日: 2024年9月27日
まとめ
『青姫』は、朝井まかて氏の独特な視点と、魅力溢れるキャラクターを通じて自由と農業の重要性を探求する作品です。文学界の新たな名作として、多くの読者に愛されることでしょう。彼の最新作がどのように評価されるのか、今から楽しみです。