秋田市文化創造館と「風景のタペストリー」プロジェクト
秋田市文化創造館は、2021年のオープン以来、様々なクリエイティブな活動を展開してきました。今回注目されるのが、2025年に向けた公募事業「クリエイター・イン・レジデンス2025」で選ばれたアーティスト、ラクミ・フィトリアニ氏による新しいプロジェクト「TAPESTRY OF LANDSCAPE(風景のタペストリー)」です。彼女は、インドネシアのバンドン市出身のランドスケープアーキテクト兼テキスタイルアーティストとして、9月から10月の約2か月間、秋田市で滞在制作を行います。
このプロジェクトの根底にあるテーマは、風景の中に宿る記憶や感情を他者と共有すること。ラクミ氏は、地域の人々と対話を重ねる中で、彼らの「風景」にまつわる思い出や経験を集め、それを基に新たなアート作品を創り出します。つまり、個々のストーリーが織り成す、共同制作の場がここに生まれるのです。
公募事業・クリエイター・イン・レジデンス2025の概要
2021年から始まったこの公募事業には、国内外合わせて306件の応募が寄せられました。厳正な審査の結果、選ばれたラクミ氏は、9月1日から10月30日までの期間、秋田市文化創造館を拠点に活動します。彼女は、地域の方々との交流を通じて記憶の収集を行い、最終的にはその成果をインスタレーションとして展示します。
プロジェクトのスケジュール
活動は大きく分けて以下のスケジュールで進行します。まず、9月前半に行われるのは地域へのリサーチです。これに続いて、9月10日(水)には交流会が実施され、17時から19時までの間、来場者がアーティストやプログラムの内容について知る貴重な機会となります。
その後、9月下旬から10月には、ワークショップが開催されます。参加者は自らの「風景」の記憶を語るとともに、ラクミ氏と共に創作に挑むことができます。これらのワークショップは9月10日や17日など、数回にわたり行われ、参加費は無料です。
最終的には、10月19日から30日の間に、滞在制作の成果を発表する展示も実施されます。この展示では、収集した記憶や素材を元にした新たなインスタレーションが披露される予定です。展示場所は、秋田市文化創造館の3階スタジオで、一般の観覧も可能です。
アーティスト・ラクミ・フィトリアニについて
ラクミ氏は、糸と布を用いた作品制作を行うアーティストで、彼女の作風にはしっかりとした技術と豊かな色彩が反映されています。彼女の作品は、多様な文化や風景との出会いから生まれる独自の視点を大切にし、「人間」と「自然」との新しい関係性を模索した作品が特徴です。特にジャカルタやジョグジャカルタなど、インドネシアの多様な都市での展示経験もある彼女ですが、秋田での新たな挑戦はどのような化学反応を生むのでしょうか。
まとめ
「風景のタペストリー」プロジェクトは、地域の人々だけでなく、さまざまな出会いを通じて新たな風景を創り出します。みなさんもこの機会に、秋田市文化創造館へ足を運び、自身の風景の記憶を共有してみてはいかがでしょうか。地域に根ざした新たなアートの息吹を感じ、共に創り上げる体験が待っています。