自分のルーツを知るための旅に出た生徒たち
不登校オルタナティブスクール『NIJINアカデミー』が主催する修学旅行が、2025年6月9日から11日にかけて行われました。この特別な旅行には全国から約80名の生徒と保護者が参加し、北海道の白老町と札幌市をめぐりました。生徒自身の提案に基づくこの旅行は、彼らが自分のルーツに対する興味を探求する場となりました。
メタバースで決定した行き先
今回の修学旅行は、メタバースで行われたオンライン発表によって行き先が決められました。生徒たちは自らプレゼンテーションを行い、多くの投票を受けて「自分のルーツを知りたい」という声が共感を呼びました。特に「私のおじいちゃんはアイヌです」と言った生徒の言葉は、北海道のアイヌ文化を体験したいという声が集まりました。
ウポポイを訪れアイヌの文化に触れる
2日目には白老町にある国立アイヌ民族博物館「ウポポイ」を訪問。生徒たちはガイドによる解説を聞きながら、展示を見学し、アイヌの歴史や文化に没入しました。「アイヌ語の音に親しみを感じた」という感想や、事前に調査したことが実感できたという声が上がり、参加者は日本の多様な文化に対する理解を深めました。
自主研修で自分の学びを深める
旅行の中では、生徒たちが班に分かれて自主研修を行いました。自ら白老町や札幌市内を計画し、移動や取材、体験を通じて深い探求を行ったのです。さまざまなテーマに触れる中で、彼らは「学びを自分でつくる力」や「仲間との協力」を育むことができました。
全国から集った多様な仲間たち
この修学旅行には、北海道以外からも東京、愛知、福岡、さらにはベトナムからも参加した生徒がいました。普段はZoomで学び合う仲間たちとのリアルでの出会いは、信頼と感動を生む特別な瞬間となりました。
自由な参加スタイルが安心感を生んだ
修学旅行は小学生から高校生まで、学年を問わず誰でも参加可能です。一人での参加も保護者同伴も選べるため、保護者が「信頼できる大人」として子どもたちを見守ることができ、安心感のある環境が整えられていました。「初めての飛行機」「初めての宿泊」といった新しい挑戦をした生徒たちも多く、その中での成長が促されたのです。
事前学習で旅への意識を高める
出発前には「アイヌWEEK」と題された特別授業があり、修学旅行先での学びを深めるための様々な探求活動が行われました。この活動を通じて生徒たちは事前にアイヌ文化についての興味や疑問を育み、旅への期待感が高まりました。
子どもたちの声が語る成功の証
参加した生徒の一人、Ryuseiさんは「勇気を出して北海道に行ってよかった」と感じたことを明かしました。また、保護者からは「息子の目がキラキラしていて、彼にとって充実した3日間だった」との声が寄せられました。
学びの循環を促す修学旅行
NIJINアカデミーではこの修学旅行を「一度きりの体験」とすることなく、感じたことを次の問いへとつなげる学びのプロセスと位置づけています。参加後は気づきや学びをスライドや動画といった形式で発信し、文化の違いや自らの問いを探求する取り組みが続けられていきます。未来に向けて、生徒たちが興味や想いを大切にしながら学びを続ける環境が支えられています。
NIJINアカデミーは、2023年9月に開校した不登校の小中学生向けオルタナティブスクールで、全国39以上の都道府県から490名を超える生徒が入学しています。「多層的な心理的安全性」や「一流教師による対話的な授業」を大切にし、全ての子どもが希望を持てる未来を創ることを目指しています。今後も、教育という分野での新たな挑戦を続けていきます。