ちゃんへん.の挑戦人生
感動の自伝 『ぼくは挑戦人』とは
在日コリアン3世のプロジャグリングパフォーマーであるちゃんへん.が、彼の人生を赤裸々に綴った自伝的なノンフィクション『ぼくは挑戦人』が、河出文庫から2024年9月6日に発売されます。価格は税込み891円。
ちゃんへん.の本名は金昌幸(キム・チャンヘン)。彼は京都府宇治市のウトロ地区で生まれ育ち、日本と韓国、北朝鮮という3つの故郷を持つ特異な背景を抱えています。この本では、彼が如何にしてジャグリングと出会い、プロのパフォーマーとして成長していったのか、その軌跡が描かれています。
小学校時代の苦悩
子供の頃、ちゃんへん.は学校で厳しい差別や暴力に直面しました。「ちょうせん人死ね!」という言葉に苦しむ日々もありましたが、彼を支えたのは祖父母や母の強い態度でした。飛び蹴りをする祖母や、教師を喝破する母の姿は、彼にとって生きる力となったのです。
ジャグリングとの運命的な出会い
物語は中学2年生の頃、ちゃんへん.がジャグリングに出会うことで大きく動き出します。彼はその才能を開花させ、アメリカのコンテストで優勝。その瞬間から、ジャグリングは彼の運命となりました。初めてのステージでの成功や、家族との絆が彼の心の支えとなり、厳しい環境に立ち向かう力を与えてくれました。
世界を舞台に挑戦する日々
成長した彼は、世界中の舞台で公演を行います。ニューヨークでの9.11に遭遇した経験や、アフリカやブラジルのスラムで出会った人々との交流が彼に深い影響を与えます。特に、パレスチナでの惨劇を目の当たりにした際の葛藤は、彼の心に重くのしかかりました。これらの出来事を通じて、偏見や分断についての理解が深まり、彼自身のアイデンティティについての探求が続きました。
ヘイトに対する思い
本書は、2021年8月に発生したウトロ地区の放火事件についても触れています。ヘイトスピーチやヘイトクライムが横行する中、ちゃんへん.は決して対話を諦めることなく、その架け橋となる活動を続けています。彼の情熱と誠実さは、多くの人々に感動を与えていることでしょう。
九月さんの解説
本書の解説を担当した九月さん(芸人)は、彼との飲み会を振り返りつつ、「一晩語り明かしたような読後感」と表現しました。彼は笑いの中にも深い悲しみや世界の大きなひずみが感じられ、それが絶えず思い起こされると語っています。
結び
『ぼくは挑戦人』は、涙と笑い、痛みと喜びを抱えたちゃんへん.の挑戦の軌跡を描いた感動の一冊です。彼のストーリーを通じて、我々は多様な背景を持つ人々の生き様を知り、共感することができるでしょう。ぜひ、9月の発売日をお楽しみに!