東京藝大で学ぶ仏像の見かた
東京藝術大学の美術学部が誇る人気講義「日本美術史概説」が、一冊の書籍として形を成しました。著者は松田誠一郎教授で、彼の授業は過去約30年にわたり、多くの学生に美術の知識を授けてきました。発売日は2026年2月20日で、出版社は小学館です。
この書籍では、飛鳥時代から平安時代にかけての仏像を詳細に解説しており、仏像についての専門的な知識が求められる内容になっています。授業では、学生から「なぜ概説なのに仏像ばかり取り上げるのか?」という質問がよく寄せられます。教授は「自身が確信を持って話せる作品を扱いたい」と述べ、仏像に対する情熱があふれています。そのため、この本も実際の授業の内容を反映しながら、著者自身の知見に基づいた解説がなされています。
本書は、2022年度の授業をオンライン授業の形で実施した結果、25回分の講義を忠実に文字起こしし、その中から特に重要な部分を選び抜いて再構成したものです。教育の場で特に重要とされる「作品の比較」に力点が置かれており、200点以上の図版が収録されています。
このように、多くの図版を通じ、自分の目で作品をじっくり観察する術を学ぶことができ、藝大ならではの美術史の学びを体現しています。本書を読めば、ただ仏像を理解するだけでなく、様々な作品との関係性や共通点を見つけ出す能力が養われます。美術史の本質は単独の作品を研究するのではなく、他の作品との関連性を探ることにありますから、このアプローチは理にかなっています。
特に興味深いのは、運慶の章です。従来の授業では平安時代の平等院鳳凰堂の阿弥陀如来像で講義が締めくくられるのですが、今回特別に運慶について新たに詳述されています。この章では、藝大の保存修復彫刻研究室による最新の模刻制作に基づく研究成果も紹介されており、理論と実技が交差する教育の特色が浮き彫りにされています。
松田教授の研究と実践を的確に反映したこの一冊は、全ての美術ファンや学生にとって、新たな視点を提供するものとなるでしょう。美術に興味がある人々にとっては、必読の資料になること間違いありません。
定価は2750円(税込)で、四六判並製で256ページの構成です。ISBNは978-4-09-389838-6です。興味のある方はぜひ手に取ってみてください。