活魚の鉄道輸送が生存率100%を達成
日建リース工業株式会社は、活魚輸送専用の新しい物流モデル「魚活ボックス」を使用し、JR貨物と連携して実施した鉄道輸送において、三重県尾鷲市から東京・豊洲市場までの長距離輸送でなんと生存率100%を達成しました。これは、2030年に見込まれるトラック輸送力不足、いわゆる「物流クライシス」に備えるための重要な一歩となります。
物流クライシスの背景
2024年から強化されるドライバーの労働時間規制に伴い、2030年までには業界全体で輸送能力が約35%不足すると予測されています。この影響は特に、活魚を扱うドライバーや活魚車に重大な打撃を与えるでしょう。活魚輸送における熟練ドライバーの不足や、高齢化に伴う従業員の大量退職が構造的な問題として浮上しています。
課題認識
- - 輸送能力不足: 約35%の不足が見込まれる。
- - 活魚車の減少: 2035年には約30%減。
- - 運転手の減少: 約40%のドライバーが不足する見込み。
これらの要因により、「必要な時にトラックが手配できる」というかつての常識が崩れ、運送業者が取引先を選定する時代に突入しています。これにより、荷主側には多くの機会損失のリスクが残されているのです。
魚活ボックスによる新たな取り組み
日建リース工業が開発した「魚活ボックス」は、活魚輸送専用に設計されたスマートコンテナです。このボックスは、水中の酸素濃度をリアルタイムで計測し、必要に応じて自動的に酸素供給を行う機能を備えています。
- - 水容量: 約1,200リットル
- - 収容量: 約160〜200尾の真鯛を収納可能
- - 酸素管理: 常時酸素濃度を計測し、自動で酸素供給する機能付き
今回の実証実験では、三重県尾鷲市から岐阜貨物ターミナル駅を経て、東京貨物ターミナル駅、そして豊洲市場への約35時間にわたる輸送が成功しました。この一貫した物流体制の確立が際立つ結果を導き出しました。
実証内容の詳細
具体的には、養殖場からトラックで岐阜貨物ターミナル駅へ輸送し、そこからはJR貨物の鉄道を介して東京貨物ターミナル駅へ。最後に再びトラックに載せ替えられ、豊洲市場に届けられるという流れです。納品時には、活魚は「非常に良好」な状態で届けられ、その結果は高い評価を受けました。
未来に目を向けて
日建リース工業は、今回の成果を踏まえ、鉄道を中心とした物流インフラの必要性を再認識しています。CO₂排出の抑制という環境への配慮も今後の重要なテーマです。また、物流業界は「スピード重視」から「持続可能性重視」へと転換期を迎えており、同社は次世代の水産流通インフラを構築する計画を持つところです。
今後、鉄道、トラック、フェリーを組み合わせた持続可能な物流モデルが確立されることが期待されます。この成功事例は、物流業界全体に新たな風をもたらすかもしれません。