サトウキビ生産に革命をもたらす深植え栽培技術
ヤンマーアグリ株式会社は、国際農林水産業研究センターとの共同研究を通じて、サトウキビの生産性を向上させ、環境への負担を軽減するための新たな技術を確立しました。この技術は、「深植え栽培」と呼ばれ、収穫後に残った株からの再生を促進しながら、持続可能な生産を可能にします。
共同研究の背景
サトウキビの栽培においては、持続的な生産のために株出し栽培が重要な役割を果たしています。しかし、従来の方法では、収穫後に地下に残る株からの発生が浅く、収量の低下や継続的な栽培が困難になるという問題がありました。そのため、ヤンマーアグリと国際農研は、特に干ばつが厳しいタイの東北部において、深植え栽培技術の開発に取り組みました。
深植え栽培の特徴
この新しい栽培方法では、植え付けの深さを約30センチメートルに設定し、従来の10~20センチと比べて大幅に深くすることによって、株の発生を促進します。フィリピンでは、干ばつの年でも安定した収穫を実現する効果が確認されています。また、耐倒伏性が向上することで、台風による被害軽減も期待されています。
フィリピンにおける実施
現在、フィリピン農業省は「ブロックファーミング」と呼ばれる施策を推進しており、小規模農家が集まり、共同で農場を経営する仕組みを整えています。ヤンマーアグリは、この流れに対応し、深植え栽培に最適な作業機器を提供することで、ブロックファーミングの農家の生産性向上を図ります。具体的には部分深耕機と深植プランターを本格的に販売し、現地のニーズに応えます。
国内での取り組み
この深植え栽培技術は海外だけにとどまらず、日本国内でも利用される予定です。特に沖縄県の石垣島では、地元の製糖工場と協力し、この技術の実証試験が行われています。これにより、日本の気候や土壌に適した生産方法の確立を目指しています。
ヤンマーの理念と今後の展望
ヤンマーは、創業以来113年の歴史を持つ産業機械メーカーであり、持続可能な未来を見据えた高品質な技術を提供しています。「HANASAKA」という理念のもと、顧客の価値創造を追求し、環境負荷フリーな企業を目指しています。今後も、サトウキビ生産の効率化に向けた取り組みを続け、持続可能性の重要性を訴えていくことが期待されています。
道路沿いのサトウキビ畑は、今後この新技術によって、より豊かな収穫が見込まれます。サトウキビだけでなく、他の農作物においても、同様のアプローチが広がっていくことが期待されます。ヤンマーアグリの深植え栽培技術は、環境を守りながら農業の生産性を高める新たな道を示しているのです。