70歳元公務員が挑んだ日本一周自転車旅の物語と書籍
定年を迎えた70歳の元公務員、森田泰正さんが、自転車で日本一周12,200kmを走り抜け、その経験を著書にまとめました。旅を始めたのは、約6年前。特に社会教育行政に携わっていた彼は、「大きな挑戦をしたい」という思いから、自転車日本一周を計画しました。今回はその旅の詳細と、彼の書籍『シニアだからできる!日本一周自転車旅』について深堀りしていきます。
1. 旅の始まり:挑戦の意思
森田さんは、自転車を使った旅に興味を持ったのは、街中で見かけたツーリング自転車がきっかけでした。彼は、トライアスロンやマラソンを通じて、苦しさの先には達成感があることを経験していました。そのため、「もう一度大きなことを成し遂げたい」という気持ちが湧き上がったのです。
定年後の新たな人生を歩む中で、彼は大きな挑戦を目指しました。しかし、コロナ禍や自らの病気、さらには事故など様々な困難が彼を待ち受けていました。特に2022年には新型コロナウイルスに感染し、肺炎で入院するほどの事態に陥ります。こうした苦境を乗り越えながらも、「途中で辞める選択肢はなかった」と語る森田さんの意志の強さが、旅を支えました。
2. 旅の目的:人との出会い
森田さんにとって、旅の本質は「出会い」にあります。彼は尺八を手に、旅先でさまざまな人々と交流を深めました。たとえば、約50年ぶりに再会した大学の後輩や、スポークが折れて助けてくれたライダーなど、旅の思い出は出会いで構成されています。
また、尺八歴50年以上の彼は、宿泊先のゲストハウスで尺八コンサートを行うなど、旅先での音楽も旅の一部として楽しみました。「今日はどんな人に会えるのかな」と旅を始めるワクワク感が彼を支えていたのです。
3. 被災地巡りと社会への還元
さらに、森田さんは「東日本大震災の被災地を訪れる」という目的も持っていました。震災後2カ月のころにボランティアとして訪れた経験から、復興の状況を自らの目で確かめたいという思いがありました。三陸沿岸を自転車で走り、震災の記憶と復興の現状を記録しました。
4. 新たな挑戦への道
旅が終わり書籍を出版するにあたり、森田さんは「挑戦が次の挑戦を生む」と考えています。旅行を成功させたことで、彼は次の目標として「自転車日本一周アドバイザー」としての活動を始めました。今後は「自力日本一周クラブ」や「日本一周サミット」を設立する計画を立てています。これにより、旅行を考えている人々との交流の場を設け、情報交換を行うことを目指しているのです。
5. 書籍内容と今後の活動
森田さんの書籍には、シニアが挑戦する際に直面する「気概、時間、体力、お金、家族の理解」といった5つのハードルに対する具体的な解説が含まれています。また、宿泊先の公園泊一覧など、実用的な情報が豊富に掲載されています。著者は、自らの経験を通じて、「無理だ」と思っていたことであっても、挑戦し続けることができると伝えたいと考えています。
このように、森田さんの自転車日本一周旅は、単なる旅行ではなく、人生の中での挑戦と出会いの記録でもあります。彼の書籍が、多くの人に勇気を与えることを願っています。