スピリット・サイエンティフィック、日本市場に挑む
台湾のリーディングブランドであるスピリット・サイエンティフィックが、医療関連の大型展示会「メディカルジャパン 東京」に初出展し、再生医療の新たな選択肢を日本で提案しました。展示会は2023年10月9日から11日まで幕張メッセで開催され、注目の技術である血小板凍結乾燥技術を中心に、多くの医療関係者の関心を集めました。
特許取得の血小板凍結乾燥技術
同社の技術、PLT(Platelet Lyophilized Technology)は、血小板に含まれる成長因子を最大化し、再生医療における治療の質を大幅に向上させる可能性を秘めています。PLT技術は、台湾国内での実績に裏打ちされており、3万件以上の実用事例が報告されています。今後、この技術を日本市場に展開する計画が着々と進んでいます。
スピリット・サイエンティフィックの創業者である林道隆氏は、東京の有明に自社設計のラボを設立予定で、年内の完成を目指しています。この設備が完成すれば、PLT技術を利用した再生医療の提供が可能となり、患者にとっての新たな選択肢となることが期待されています。
PRP療法の課題を克服
従来のPRP療法は、多様な成長因子が含まれ治療効果が期待される一方で、個々の治療におけるばらつきが問題とされてきました。血小板の管理が難しく、治療の質が医療従事者のスキルに依存するため、安定した結果を出すことが困難でした。
スピリット・サイエンティフィックのPLT技術は、その課題を解消する手段として登場しました。標準化された製法で凍結乾燥された血小板成長因子を使用することで、医師は各患者における最適な投与量を容易に調整可能になり、治療効果を一層高めることができます。
安全性と安定性の確保
同社のPLT凍結乾燥技術で製造された血小板成長因子は、室温で3年間の保存が可能であり、その性能は従来のPRPやプラズマ因子濃縮凍結(PRP-FD)よりも優れていることが実証されています。この安定性は医薬品の安定性試験によって検証されており、患者に安全安心の医療を提供する基盤となっています。
日本進出のハードルを乗り越える
スピリット・サイエンティフィックは日本市場への進出を実現するため、2021年には約1億台湾ドルの資金調達を行いました。さらに、2023年には江東区有明に子会社を設立し、ラボの開設に向けた準備を進めています。また、日本最大の独立系ベンチャーキャピタルからの出資も受けており、日本におけるビジネスの基盤が着実に構築されています。
今後、日本国内の医療機関と連携しながら製品の流通を進めていく予定です。林道隆氏は、スピリット・サイエンティフィックの技術を駆使した医療ソリューションが、より多くの患者の手に届くよう努力すると述べています。再生医療の未来を切り開く同社の取り組みに注目が集まります。