出雲市、デジタルスタンプラリーで観光振興へ
島根県出雲市が、株式会社三菱総合研究所(以下、MRI)と協力し、NFT(非代替性トークン)を活用した観光振興のための新しい試みを始めます。この取り組みは、大阪・関西万博に関連した「EXPO2025デジタルウォレット」の一環として、デジタルスタンプラリーを実施するものです。出雲神話をモチーフにした独自のデジタルスタンプを通じて、観光客が地域を巡る機会を設け、その結果をデータ分析により観光施策の改善に活かすことを目指しています。
1. プロジェクトの背景と目的
出雲市は、日本の神話や文化に基づく豊富な観光資源を誇ります。しかし、宿泊者数が少なく、特にインバウンド需要の復調が停滞している現状があります。観光客が多く訪れる一方で、滞在を促しにくい環境が課題とされています。MRIは、地域課題の統合的解決を目指しており、出雲市との連携によりこの課題解決に取り組むことを決めました。具体的には、デジタル技術を駆使した施策を通じて観光地の魅力を更に引き出し、多様な来訪者を惹きつけることを狙います。
2. 実証実験の詳細
本実験の名称は「出雲旅・神話デジタルスタンプラリー」。実施期間は2025年4月25日から6月1日までの約1ヶ月間で、出雲市内の観光地全24ヶ所を舞台に行われます。NFTをベースとしたスタンプラリーは、すべての参加者がスマートフォン経由で簡単にアクセスでき、参加方法もシンプルです。
参加者は「EXPO 2025デジタルウォレット」アプリをダウンロードし、出雲市内の各観光スポットを訪れることで、デジタルスタンプを収集することが可能です。スタンプは全部で5種類、地元にゆかりのある神々をモチーフにしたものが揃っており、各スタンプを集めることで特別なデジタルスタンプも手に入れることができます。これらのデザインは、出雲市出身で『ファイナルファンタジー』シリーズのアートディレクターを務めた直良有祐氏によるものです。
3. 地域活性化に向けて
本実証は、出雲市における観光振興の効果を測定する重要な手段となります。デジタルスタンプラリーにより得られたデータを分析し、観光施策の有効性を検証します。また、NFTの導入により、地域の観光資源と観光客を繋げる新しいビジネスモデルの構築も期待されています。これにより、参加者の興味や関心を把握し、そのニーズに応じたサービス提供が可能になるでしょう。
4. 今後の展望
MRIは、出雲市での実証実験を通じて、地方自治体の観光振興にデジタル技術を有効に活用する方法を明確にしていく考えです。収集したデータを元に観光施策を経済的に持続可能な形で展開し、地域の決済基盤との連携も強化する予定です。将来的にはこの取り組みを他地域に応用し、全国的に観光振興を支援していくことも視野に入れています。
出雲市の魅力を再発見しながら、デジタル技術を駆使した新しい観光体験を楽しむことができるこのプロジェクトから、目が離せません。