出光興産株式会社は、石油精製及び化学品の製造を行う4つの拠点で、産業向けのデータ基盤「Cognite Data Fusion(CDF)」を導入しました。導入が完了した拠点は、北海道製油所、千葉事業所、愛知事業所、そして徳山事業所の4か所で、これにより出光興産はデジタル化の一環として、装置運転や保全のデータを一元管理する取り組みを進めていくこととなります。
CDFは、Cogniteが開発したデータ管理システムで、AIや機械学習を通じて多種多様なデータを連携管理することを可能にします。出光興産はこのシステムを活用し、プラントの配管計装図(P&ID)、過去の保全履歴、運転データなど、600万件以上のデータを統一されたデータベースで一元管理します。この結果、担当者は以前のように個別にデータを収集する必要がなくなり、迅速に情報を取得できる環境が整いました。
具体的には、約1万枚のP&IDデータが集約され、これを起点として必要な情報を瞬時に検索できるようになるため、運転や保全業務の計画にかかる手間が大幅に軽減されます。今後、約3000人の従業員がこのCDFを使用し、業務の効率化が図られる予定です。これによって、ピアの知見やアイデアの共有、潜在リスクの把握が促進され、生産性の向上や顧客満足度の向上も目指されています。
出光興産の生産技術センター長である鳳城延佳氏は、CDFを導入したことで、情報収集と分析のリードタイムが劇的に短縮されるとし、さらに基盤事業の構造改革や業務効率化の一環として株式会社Cogniteとの連携を深めていく考えを示しました。過去の経験と技術に頼っていた業務から、AIを駆使した効率的なデータ管理へと進化することで、業界全体の業務がスマートに変化していく過程を迎えています。
また、北海道製油所の機械課長小笠原利文氏は、CDFの簡単な操作性により、若手エンジニアでも直感的にデータを扱えることのメリットを強調し、本システムの導入によって現場の作業効率が飛躍的に向上していることを実感していると発言しています。
Cogniteの代表取締役社長である江川亮一氏は、出光興産の製造拠点へのCDFの導入が完了したことに喜びを表し、今後も出光興産のDX推進及び操業の高度化に貢献する意向を述べました。
最終的に、出光興産は2050年までにカーボンニュートラルを目指し、製造業務の次なるステップとしてCognite Data Fusionを活用することで、新たな挑戦を続けています。Cogniteは、産業向けのデータ管理を通じ、企業の収益性や持続可能性を高めるための重要な役割を果たす企業として、今後も業界内での存在感を示していくこととされています。