帯状疱疹ワクチン接種率調査と地域格差の実態を探る

記事タイトル：帯状疱疹ワクチン接種率調査と地域格差の実態を探る

はじめに

エムスリー総合研究所（M3総研）は、日本人成人の約90％が体内に潜む帯状疱疹ウイルスに関する調査を行い、その結果を発表しました。このウイルスは80歳までに3人に1人が発症すると言われており、接種が推奨されている帯状疱疹ワクチンの接種状況に注目が集まっています。

帯状疱疹の概要

帯状疱疹は、かつて水痘を引き起こしたウイルスが再活性化することによって発症します。初期症状には皮膚の痛みやかゆみがあり、免疫が低下していると皮膚症状が広がることもあります。重症化すると数週間から数か月続く痛みに悩まされ、日常生活に多大な影響を及ぼします。また、顔や鼻周辺に症状が出ると、視力に関する深刻な合併症を引き起こす場合もあります。

帯状疱疹ワクチンの接種状況

接種は、厚生労働省が定めた制度に従い、2025年から60歳以上の一定の年齢層が対象となります。独自に行われた調査によると、全国の接種率は2023年9月末時点で15.2%でした。これは、2025年度には月平均接種者数が前年の約20倍に達する見込みです。

しかし、各自治体間の接種率には大きな差が見られます。長野県では25.4%と高い一方で、愛媛県はわずか10.1%にとどまっており、最大で2.5倍の差が存在します。この地域差は、各自治体の助成制度や接種勧奨体制が影響していると考えられています。

地域格差の要因

接種費用を助成する金額が自治体によって異なるため、大きな地域格差が生まれています。たとえば、組み替えワクチンの助成額は最高で19,990円、最低で0円と、2回接種の場合には最大で39,980円も差があります。このため、助成策の差が接種率に直接的な影響を与え、各地域での接種促進活動が必要とされています。