T&Dフィナンシャル生命とRightTouchがアプローチするAIオペレーターの未来
背景と必要性
近年、デジタルチャネルが進化する一方で、電話を通した顧客接点は依然として重要な役割を果たしています。特に生命保険業界においては、契約内容や手続きに関するお問い合わせは、直接オペレーターに確認したいと考える顧客にとって非常に大切なものです。このため、正確な聞き取りと適切な用件分岐は、顧客サービスの質を大きく左右します。
しかし、最近の問い合わせの増加に伴い、人材の確保が難しくなっていることも事実です。このような状況において、AIを活用することで、業務の効率化と品質の両立が求められています。T&Dフィナンシャル生命は、2028年に一斉満期を迎える保険商品を控え、大幅な問い合わせ増加が予想される中で、AIオペレーターの導入を進める決断を下しました。
QANT スピークの導入検証
RightTouchが手掛ける「QANT スピーク」は、特に電話チャネルでの顧客対応を支援するAIオペレーターです。T&Dフィナンシャル生命では、2025年9月からその導入を開始します。
中でも重要なポイントは、用件ベースの振分精度が99.3%に達したことです。この精度をもとに、顧客体験を向上させるための基盤整備が進められています。顧客の要望に対して的確に応じられる体制を整えることが、今後の経営課題でもあります。
検証内容と進捗
T&Dフィナンシャル生命は、以下のような検証を段階的に進めています。
1.
聞き取り精度の検証
AIが実際の通話データを用いて、正確に聞き取ったかどうかを評価し、適切な窓口に振り分けが行われているかを確認します。
2.
ハイブリッド運用の検証
AIが一次対応を行い、その結果を人が確認・補完する方法を模索しています。これにより、案内の品質を維持しながら、効率化を図ることが狙いです。
3.
応対範囲の検証
あらかじめ定めた用件範囲にしたがって、AIが適切に用件分岐を行えるかを確認します。
現在、特定のコールリーズンに対して社内検証を進めており、得られた結果は顧客接点での実証実験にも繋げていく予定です。
将来の展望
T&Dフィナンシャル生命は、AIオペレーターの活用範囲を段階的に拡大し、電話チャネルにおける安定した応対体制を整えることを目指しています。特に、電話およびWebの両方で蓄積された顧客データを活用することで、より良い顧客体験へと繋げる施策を進めていきます。
QANT VoCが提供する顧客の声を分析し、ナレッジ整備や応対設計に反映することで、サービス品質の向上を図ります。これにより、将来の問い合わせ増加時でも、高い品質での応対が可能になります。
RightTouchとT&Dフィナンシャル生命の共同ビジョン
RightTouchの代表取締役である野村 修平氏は、AIと人が協力しながら働く体制の重要性を強調しています。AIが用件を聞き取り、整理し、その結果を人が確認することで、より良い顧客体験を実現するための基盤を築いています。
この取り組みを通じて、AIが担う一次対応と、人が担当する専門的な対応の協調した運用を目指していくことになります。顧客サポートの分野でのAI活用はまだ始まったばかりですが、その可能性は非常に大きいと言えるでしょう。