昆虫粉末を用いた新たなサステナブル養殖飼料の実証試験が始動
フィード・ワン株式会社(本社:神奈川県横浜市)、大日本印刷株式会社(DNP)、そして国立大学法人愛媛大学が共同で、昆虫由来の粉末を使用した養殖魚向け飼料の実用化に向けた水槽試験を開始しました。この試験は2026年2月5日より実施され、新たな水産養殖業の模索に寄与することを目的としています。
養殖業の課題と背景
近年、世界的に人口が増加し、食料需要が高まっている中で、水産養殖業も急速な拡大を遂げています。しかし、養殖魚に使用される飼料の主成分である魚粉が輸入依存しているため、価格の上昇とサプライチェーンのリスクが問題視されています。日本国内においては、養殖業の飼料代が生産コストの6〜7割を占めるため、魚粉の安定調達とサステナビリティの確保は重要な課題となっています。
フィード・ワンはこれまでに、昆虫タンパクであるミールワームに注目し、マダイやブリ向けにさまざまな水槽試験を行ってきました。魚粉の一部をミールワーム粉末に置き換えた配合飼料を使用して、成長や嗜好性、健康状態、さらには魚の味や耐病性など、幅広いデータを取得しています。特に、魚の健康状態やストレス耐性、体表の粘液量の増加についても研究が進められており、サステナブルな養殖業の実現を目指しています。
ミールワーム供給体制の強化
フィード・ワンが現在使用している昆虫タンパクは新東亜交易株式会社から供給される輸入品ですが、今後昆虫タンパクの使用を拡大していくためには、品質の安全性と供給の安定性が不可欠です。名刺を連携し、日本国内でのミールワームの安定的な量産体制を構築することが期待されています。DNPは、愛媛大学との協力によりミールワームの国内生産を進め、新しいビジネスモデルの確立を目指しています。
水槽試験の概要
今回の水槽試験では、DNPが開発したミールワーム粉末を使用し、フィード・ワンが製造するマダイ用の配合飼料に10%添加した飼料が用いられます。試験は500Lの水槽8基を使用し、ミールワーム粉末の加工条件を変更して、その適性や供給プロセスの検証を行います。評価項目にはマダイの成長速度、飼料の摂取量、生存率、体成分、味などが含まれ、健康状態やストレス指標、耐病性に関するデータも収集されます。
今後の進展
この水槽試験は2026年4月まで続き、その後は加温試験や機能性評価も加えて研究が進められる予定です。フィード・ワンは、2028年には年間100トン、2030年には年間1200トンというDNPが目指すミールワーム粉末の生産体制の実現を支援します。今後もDNPと愛媛大学との連携を深め、持続可能な水産業の発展に貢献する意志を持っています。
この試験が成功すれば、環境に優しい方法で養殖魚の飼料を確保できる道が開け、持続可能な水産業の確立に大きく貢献することになるでしょう。