情報インテグリティ調査の結果の概要
株式会社電通総研と日本ファクトチェックセンター(JFC)は、2025年4月2日に「電通総研コンパス vol.15 情報インテグリティ調査」の主な結果を発表しました。この調査は、情報の正確性や信頼性、統一性に焦点を当てており、情報インテグリティの現状を把握する目的で実施されました。
調査の背景と目的
「情報インテグリティ」とは、個人の日常生活や国家の安全保障にかかわる重要なテーマです。最近では、ネット上の偽情報や誤情報が社会に与える影響が深刻化しており、調査では人々の意識を調査し、情報インテグリティ向上のためのヒントを模索しています。
主な調査結果
調査を通じて分かった主な結果は以下の通りです。
1.
ストレスと不安の現状
約48.3%の人々が、誤った情報やニュースの存在によってストレスや不安を感じていると答えました。また、ニュースへの関心が低下した人数は44.4%にのぼり、議論を避けるようになったという人も36.8%に達しました。これは、情報環境の健全性に対する警鐘とも言えるでしょう。
2.
誤情報の頻度
人々が誤った情報に接触する頻度は高く、SNSで「毎日」目にする人が31.8%、ネットニュースで25.9%、動画共有サービスで24.1%と報告されています。それにもかかわらず、約47.0%の人々はファクトチェックをしたことがないと答えています。
3.
責任の所在
偽情報の広がりに対する責任は、主にマスメディア(47.1%)や政府・自治体(44.7%)に求められていることが分かりました。また、一般市民についても68.0%が何らかの責任を感じているとの結果が示されました。
4.
認証制度への期待
「インターネット上の情報には信頼性を確認できる仕組みが必要」と考えている人は65.1%にのぼります。これは、情報の透明性を求める声が高まっていることを示しており、信頼できる情報を基にした社会の構築が急務であるとされています。
5.
オンライン差別表現や誹謗中傷
73.2%の人々がオンラインで差別的表現や誹謗中傷を目撃しており、73.1%がこれに対しての対応を強化すべきと考えています。
情報インテグリティ向上に向けて
この調査を通じて、偽情報や誤情報が社会に与える悪影響が明らかにされました。読者の信頼性を高めるためには、国、メディア、一般市民が一体となって対策を行う必要があります。情報環境が危機的な状況にある中で、正確な情報に基づく判断ができる場を設けることが求められています。
専門家のコメント
本調査の監修を行った国際大学の山口准教授は、偽情報がもたらす心理的負担とそれによって引き起こされる行動の変化に対して危機感を示しています。彼は、ファクトチェックの意識向上や情報リテラシー教育の重要性を訴えており、社会全体でこの問題に取り組む必要があると強調しています。
まとめ
情報インテグリティの向上には、国やプラットフォーム、一般市民の協力が不可欠です。信頼できる情報を得る環境を整えることが、健全な情報社会実現のための第一歩と言えるでしょう。正確な情報を確保し、これに基づいて判断できる社会を目指して、今後の取り組みが期待されます。