歴史を再考する: 「反日レイシズムの狂気」のメッセージ
日本とアメリカは、長い戦争の歴史をダイナミックに乗り越え、同盟国としての関係を築いてきました。しかし、戦後何十周年ごとに、日本を侮辱するかのような内容の書籍が次々と登場しています。その中で特に目を引くのが、1997年に発表されたアイリス・チャン著の『THE RAPE OF NANKING』です。この作品は米国でベストセラーとなり、日本に対する歴史的評価を改めて疑わせる一因となりました。特に、戦後80年を狙った「歴史戦」としての意味合いを持つこの現象には、見過ごせない背景があります。
昨今の状況を打開するために、有志たちは「戦争プロパガンダ研究会」を発足させ、著者リッグが繰り広げる虚偽を暴くために立ち上がりました。茂木弘道氏もその一員として参加しています。彼らは過去の惨劇に対する誤解と偏見を正すため、先行して出た文献に対し、目を見張る反論を行います。2025年6月には、彼らの主張を基にした徹底的な反論本が発刊される予定ですが、茂木氏が新たに発表する『反日レイシズムの狂気』は、早くも注目を集めています。
本書における茂木氏の筆致は、小気味良い口語でありながら、論理的に構成され、リッグの主張する虐殺の数字の不合理さを明確に示しています。特に、「日本が中国や東南アジアで3000万人を虐殺した」という数字は、中国共産党のプロパガンダに基づいて多倍化されたものであることが強調されています。このような歴史の歪曲がなぜ行われ、どのような目的で広められているのかを考察することが、本書の重要なテーマとなります。
また、茂木氏は「南京虐殺20万人」の説が、いかに中共のプロパガンダによるものであるかを解説します。リッグは、「南京市民20万人が助かったのは、アメリカ人が中心となって設立した国際委員会の存在があったからだ」と述べているが、これはまるで、日本軍が虐殺を行っていないと主張しているかのように思えます。本書は、この奇妙な論理の背後に潜む真実を追求し、国語を用いて具体的な事例を示しています。
さらに、茂木氏は著者リッグの人種差別的な観点に対しても言及しており、そのレイシズムがどのように戦時国際法に抵触する行為を正当化するのかを追っています。特に、原爆投下が終戦を早めたとの考えは、今なお多くのアメリカ人に浸透していますが、こうした解釈が実際には誤った情報に基づいていることを指摘します。アメリカにおける歴史教育において、原爆投下の「正当性」がいかに構築されたかを明らかにし、いま一度日本の立場から冷静に歴史を振り返る必要があると述べています。
最終的には、どのような歴史の見解がアメリカに存在するのかを考え直し、過去の誤解を解消するための反論が不可欠であることを力強く訴えています。『JAPAN'S HOLOCAUST』なる言葉が英語圏での共通認識となることを防ぐためにも、その事実を理解し、議論を続ける意味がここにあるのです。
著者プロフィール
茂木弘道(もてき・ひろみち)氏は東京都に1941年に生まれ、東京大学経済学部を卒業後、数々の職歴を経て、1990年に世界出版を設立しました。さまざまな歴史関連書籍の執筆に関わりながら、特に「史実を世界に発信する会」の会長や「南京事件の真実を検証する会」の監事としても活動しています。著書には教育や歴史に関する本が多く、今後の日本の歴史の見直しに向けた一助となるでしょう。
書籍情報
- - 書名:反日レイシズムの狂気
- - 著者:茂木弘道
- - 仕様:四六判並製・200ページ
- - ISBN:978-4-8024-0236-1
- - 発売日:2025年4月18日
- - 価格:1,500円(税別)
- - 発行:ハート出版
- - 書籍URL: 詳細はこちら