三菱電機が台湾ITRIと共同でCO2回収技術の実証試験を開始

三菱電機、ITRIと連携しCO2回収の新技術を実証

三菱電機株式会社は、台湾の工業技術研究院（ITRI）と協力し、革新的なCO2回収技術の実証試験を兵庫県尼崎市の先端技術総合研究所にて始めました。これにより、気候変動への対応策として、排ガスからCO2を効率的に回収するための研究を加速します。

実証試験の目的と背景

今回の実証試験は、2024年4月に締結された基本協定に基づき、グリーン社会を実現するための重要なステップとなります。三菱電機とITRIはともに、世界規模の気候変動の課題解決に向けたCCU（Carbon dioxide Capture and Utilization）技術の開発に取り組んでいます。従来のCO2回収技術は、アミン系の液体を用いた方式が一般的でしたが、今回の新技術は独自の「固体吸着方式」を採用しています。

固体吸着方式の特長

新たなCO2回収装置は、固体の吸着材を使用することで、従来の液体吸収方式に伴うエネルギー損失を大幅に削減します。具体的には、蒸気発生ボイラーからの排ガスに含まれるCO2を回収し、吸着させた後に加熱してCO2を分離する仕組みです。この方法では、水分の蒸発によるエネルギーのロスがなく、よりエネルギー効率の良い回収を実現します。

研究開発の今後の展望

実証試験は、2025年6月9日から2027年9月までの期間で進められ、最終的には2029年度以降の実用化を目指しています。三菱電機は、空調冷熱システムやさまざまな産業システムで蓄積した高度なシステム設計やエネルギーマネジメント技術を活用し、CO2回収の最大効率化を目指します。また、このCCUシステムは、相互に関連する多くの分野での応用が期待されています。