京王電鉄とナレッジコミュニケーション、CDP基盤を構築
京王電鉄株式会社(以下、京王電鉄)は、デジタル戦略推進部のもとで、顧客データ統合基盤(Customer Data Platform、CDP)の構築を進めました。これをサポートしたのが、クラウドAI導入支援を行う株式会社ナレッジコミュニケーションです。この取り組みにより、両社はわずか2ヶ月という短期間でのデータ基盤の設計・構築を実現しました。
背景と課題:サイロ化したデータの統合
京王グループは、交通業、不動産業、ホテル業など多様な事業を展開していますが、顧客データがサイロ化していることが課題でした。特に、データを横断的に分析し、パーソナライズされた顧客体験を実現する必要がありました。そのため、デジタル戦略推進部は、顧客との接点を増やすため、京王アプリのリニューアルやID統合を進めましたが、データ基盤の構築が重要な課題であることが浮き彫りになったのです。
Databricks選定の理由
京王電鉄がCDP構築のパートナーとしてナレッジコミュニケーションを選定した理由は、特に3つのポイントが際立ちます。
1.
既存AWS環境との親和性
- 京王グループではAWSを既存のインフラとして利用しているため、同環境にDatabricksを統合することが可能な点が強調されました。これにより、データの移行や新規DWHの構築が容易になり、また従量課金モデルにより初期投資を抑えられることが評価されました。
2.
生成AIの活用
- Databricksに搭載された生成AI「AI/BI Genie」は、ビジネスユーザーがSQLの知識がなくても自然言語でデータを分析できる機能を提供します。これによって、マーケティングプロセス全体の効率化が期待されます。
3.
安定した運用環境
- CDP構築後に、データサイエンティストだけでなく事業部門の担当者も安全かつ効率的にデータを活用できる環境が整えられることで、意思決定を迅速に行うことが可能になります。
構築プロジェクトの成功
実際の構築プロジェクトは、非常に短期間で完了しました。大野健太郎氏によると、「これまで使っていたAWSからの日次データ取り込みや、各種データを横断して分析する環境が早期に整いました」とのことで、2ヶ月で本番稼働に至ったことが大きな成功として認識されています。
今後の展望
京王電鉄は、構築したCDP基盤によって顧客分析の効率化と精度の向上を目指します。菊池透矢氏は、「横断分析の定常化を進め、データの取得範囲拡充に取り組む」とし、AI/BI Genieを活用して事業部門のセルフサービス分析を促進する計画を示しました。
このように、京王電鉄とナレッジコミュニケーションの連携により、デジタル戦略のさらなる推進と顧客体験の向上が期待されています。今後も両社は持続的な価値創造に取り組んでいくことでしょう。