未来の日本の食と農を見据える「コメサミット」のスタート
令和7年8月26日、大阪府泉大津市で「コメがつなぐ自治体間農業連携首長協議会(通称:コメサミット)」の設立に向けた首長会議および市民公開シンポジウムが開催されました。この取り組みは、日本の食料問題の本質に向けて、「生産地」と「消費地」をつなぐ新しい自治体間ネットワークを構築することを目的としています。会議には、全国から賛同する16の自治体の首長が集まり、2026年の正式設立に向けた議論が行われました。
1. 首長会議の概要
首長会議には、北海道の旭川市から沖縄県の石垣市まで、全国16自治体の首長が参加しました。また、農林水産省近畿農政局や東洋ライス株式会社もオブザーバーとして出席。会議では、生産地及び消費地が直面する課題や役割について活発な意見交換が行われました。会議の最後には、2026年に初めての「コメサミット」を正式に立ち上げるための設立趣意書、共同宣言書、運営規約の草案が提示されました。
参加した首長からの意見
各首長からは、共通の農業課題として "気候変動の影響"、"農家の高齢化"、"後継者不足" が挙げられました。来年の「コメサミット」が、生産地のノウハウを共有する場となり、日本全体の農業生産力を向上させることへの期待が語られました。また、「生産地は農家を育てる体制」、そして「消費地は安定した供給を確保する体制」を構築することの重要性も強調され、相互の連携による国への要望や全国自治体への訴えが必要だという意見が集まりました。
さらに、新たなネットワークの構築により、販路拡大や市民の農業体験を通じた地域活性化に繋げることの重要性も述べられました。泉大津市長の南出賢一氏は、地域同士のネットワークの必要性を訴え、食の安全保障を補完するために自治体が連携し、共に考える姿勢を持つことを呼びかけました。
2. 市民公開シンポジウムの開催
続く市民公開シンポジウムでは、『日本の“食と農”の未来を考える勉強会』がハイブリッド形式で行われ、会場とオンライン合わせて約250名が参加しました。講演者には南出市長、東京大学の鈴木宣弘特任教授、東洋ライスの雜賀慶二社長が名を連ね、日本の食の現状と未来、米の価値について議論が交わされました。
参加者からは、「重要な話を聞けた」、「正しい情報を多くの人に知ってもらいたい」といった感想が寄せられました。特に、日々口にする米についての認識を深めることができ、自分事として考える重要性を感じたとの声が多く聞かれました。
3. 今後の展開
この会議を踏まえ、2026年の「第1回コメサミット」に向けて各自治体との調整が進められることが期待されています。泉大津市は、生産地と消費地が一体となった全国ネットワークの形成を推進し、米を起点とした新たな食と農の連携モデルを示すべく、さらなる取り組みを行ってまいります。日本の食と農の未来が「コメサミット」を中心に形成されていくことを期待してやみません。