高齢者施設に設置されたスマート調光ガラス「ヘイリオ」の導入効果とは

高齢者施設に導入されたスマート調光ガラス「ヘイリオ」

このたび、米国のキネストラル・テクノロジーズが開発した高性能スマート調光ガラス「ヘイリオ」が、ベルギーのシニア向け介護施設「アヴォゾン」に設置されました。132枚のヘイリオが天窓に取り付けられ、透明なガラスからたっぷり自然光を取り入れることが可能になったのです。

太陽光の調整が健康に寄与

この調光ガラスの導入は、高齢者の生活にどのような影響を与えるのでしょうか。キネストラルと大手ガラスメーカーAGCとの合弁会社であるヘイリオインターナショナルのマネージャー、ブノワ・ドメルク氏は「太陽光は健康と密接に関わっており、ヘイリオの導入によってヘルスケア施設は多大なメリットを享受できます」と述べています。

高齢者は一般的に、視神経に光が伝わりにくいため、明るさの刺激が重要です。具体的に、彼らは若年層に比べて、はっきりと物を見えるためには3〜5倍の明るさを必要とすると言われています。日光を適切に浴びることは、入眠の質に寄与するとされています。ヘイリオによって、まるで屋外にいるような明るさを一日中感じることができるようになります。

事故のリスク軽減と快適な生活

アヴォゾンのケイトリン・タイセバード氏は、「明るさは高齢者の転倒リスクを低減する手助けになります」と語っています。明るい環境で生活することで、高齢者は快適に過ごし、怪我をするリスクを減らすことが可能です。また、医療機関にかかることが減り、睡眠薬の必要性も低下します。

さらに、自然光には精神的な刺激や眼精疲労の軽減にも影響を与えることが知られています。日光を自由に調整できることで、高齢者はより自立して移動ができ、日常的な活動をよりスムーズに行えるようになります。これにより、施設の職員も介助の負担が軽減されるというメリットもあります。

先進技術による自動調光

「ヘイリオ」は、見た目は通常の透明ガラスと変わらない状態から、暗く調光するときには自然なグレーになる特性を持っています。この調光技術は、従来の製品に比べて10倍のスピードで対象を均一に調光することが可能。特に、最新の気象条件に応じて自動で調光を行う機能が備わっており、温度が一定以上になると自動的に色を変える設定もできます。

このような技術はビルのエネルギー効率を向上させ、照明や暖房、空調にかかるコストを約20%削減することができるとされています。環境に優しいグリーンビルディングの実現にも大きく寄与します。