2025年3月7日(金)、美術出版社から『美術手帖』の2025年4月号が発売されます。この号の特集テーマは、スウェーデン出身の画家ヒルマ・アフ・クリントです。彼は18世紀後半に生まれ、長い生涯の中で1000点以上の作品を手掛け、その表現は様々な影響を受けたと言われています。スピリチュアリズム、宗教、自然科学、さらには科学技術など、彼の作品には多様な知識が反映されていますが、その評価が高まるのは比較的最近のことです。特に、20世紀初頭の未来派や抽象芸術の先駆者たちと並ぶ存在として、近年急速に彼女の名声が広がっています。2013年にはストックホルム近代美術館での個展が開催され、さらに2018-19年にはニューヨークのグッゲンハイム美術館での回顧展が多くの観客を惹きつけ、約60万人が訪れるという驚異的な来場者数を記録しました。
日本では、ドキュメンタリー映画『見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界』が2019年に公開され、2022年には多くの期待を背負って上映されました。この上映により、日本における彼女の作品展示が待望されるようになり、ついに2025年3月4日から6月15日まで、東京国立近代美術館で大規模な展覧会が開催されます。
この特集では、アフ・クリントの代表的な作品群や水彩画、さらにはノートブックに至るまで詳しく解説し、彼女の人生を追ったクロノロジーを紹介します。また、スピリチュアリズムやスウェーデン・フォークアート、ジェンダーと性に関連するテーマに関する多様な論考も掲載されています。特に見るべきは、造形作家の岡﨑乾二郎氏と本展のキュレーターである三輪建仁氏との特別対談で、アフ・クリントの思考と作品の真髄に迫る内容となっています。アフ・クリントの作品を通して、私たちは全宇宙や自然界の成り立ち、さらには物理現象や生命の表現をどう捉えることができるのか、その核心に迫る試みがなされています。
さらに、アーティスト・インタビューでは、現代アートに力強く挑むウェンデリン・ファン・オルデンボルフ氏に焦点を当て、フェミニズムや植民地主義をテーマにした作品制作の背景にある思考プロセスを掘り下げます。
目次には、ヒルマ・アフ・クリントの代表作の解説や、彼女の宇宙理解に関するエッセイ、さらには展示情報やアーティストのレビューが盛り込まれています。彼女の作品はただの美術作品ではなく、私たちが宇宙や自身を理解するための重要な鍵となることでしょう。
この特集を通じて、ヒルマ・アフ・クリントの独自な視点とその重要性を感じ取っていただきたいと思います。
【書誌情報】
- - 発売日:2025年3月7日(金)
- - 定価:2,000円+税
- - 発行:カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
- - 発売:美術出版社
公式サイトやAmazonでの購入も可能です。また、特別定期購読のお得なキャンペーンもお見逃しなく!