2024年12月、マレーシアのクアラルンプールで開かれる「IEEE MCSoC 2024」国際会議に、Tokyo Artisan Intelligence株式会社の創業者である中原啓貴氏が登壇します。このイベントでは、彼の手がけるエッジAI事業と開発中のFPGAベースのAIプラットフォームに関するロードマップが発表される予定です。
「IEEE MCSoC」は、マルチコア・アーキテクチャに関する国際的な学術会議であり、2005年から毎年開催されています。特にアジア・環太平洋地域において、最先端の情報通信技術を背景にした半導体技術に関心を持つ研究者や技術者が集まることから、どのようなトピックが催されるのか注目が集まっています。
発表されるのは「An FPGA-based Accelerator Platform for an Edge AI」です。このプラットフォームは、FPGAを利用したAI処理をより高速かつ省電力で実施できるシステムであり、柔軟な回路設計が可能です。中原氏は、AIに特化したハードウェアとFPGA上で動くソフトウェアの組み合わせがいかにして高い処理効率を実現しているのかを詳しく説明する予定です。
FPGA(Field Programmable Gate Array)は、設計変更が容易な半導体チップで、その特性により特定のAI処理に対して優れた性能を発揮します。これにより、CPUやGPUと比べて必要な処理を電力効率が良く、かつ迅速に行うことが可能です。中原氏は、これまでの量産案件から得た知見をもとに、顧客ニーズに応えるためのスペック設定や、競争力のあるコストと、耐久性に優れたコンピューティングシステムの概要についても言及する見込みです。
また、具体的にエッジAIに特化した最適化手法や、これまでの顧客成功事例についても紹介されるでしょう。エッジAI技術は、リアルタイムな応答が求められるさまざまな分野での利用が期待されており、その最前線を担うプラットフォームとなることが期待されています。
Tokyo Artisan Intelligence(TAI)は、2020年に設立された東北大学発のベンチャー企業です。「AI技術で人類の発展に貢献する」という理念を掲げており、その実現に向けてエッジAIの研究と開発に取り組んでいます。特に、AIアルゴリズムをクラウドではなく、端末側で実行するというアプローチを通じて、リアルタイム性と低消費電力の両立を図っています。
中原啓貴氏自身、半導体設計技術やAI、コンピュータアーキテクチャが専門で、すでに多くの研究を進めてきた実績があります。特に、2019年には英国のインペリアル・カレッジ・ロンドンで客員研究員として活動するなど、多彩な経験を持つ彼が展開するTAIの技術はこれからの技術革新をリードする存在になるでしょう。
この国際会議での発表は、TAIの未来を形作る重要なステップであり、エッジAI技術の発展に向けた大きな期待が寄せられています。中原氏の登壇やその内容に多くの注目が集まることでしょう。