キリンと三井農林、スリランカ紅茶の人権デューデリジェンスを推進
キリンホールディングス株式会社(以下、キリン)と三井農林株式会社(以下、三井農林)は、人気の高い「キリン 午後の紅茶」で使用する紅茶葉を、より持続的な方法で調達するための新たなステップを踏み出しました。この取り組みは特に、紅茶の生産地スリランカに焦点を当てた人権デューデリジェンスの実施を通じて行われます。
これまでキリンは、安定した品質の紅茶葉の供給を実現するために、指定茶園制度という仕組みを設け、信頼できる農園から茶葉を調達してきました。この制度は、農園に対して必要な支援を行い、品質の向上を図るものです。しかし、新たに2025年1月からはこの制度に対し、さらに踏み込んだ取り組みとして、アンケートの実施や現地監査を通じて人権問題を把握し、リスクを軽減するための活動もスタートします。初年度には、4つの農園での取り組みが計画されています。
この人権デューデリジェンスの背後には、「持続可能な紅茶葉の調達」という目標があります。2030年までには、キリンが調達する紅茶葉の80%を持続可能な生産地からのものとすることを目指しています。これにより、スリランカの農園における社会的な課題に対処し、農園で働く従業員の福利厚生の向上にも尽力する方針です。
キリンはまた、国際的な基準である国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」と自社の人権方針に従い、サプライチェーン全体での人権デューデリジェンスを2018年から実施してきました。その結果、過去にはラオスのコーヒーや中国の大豆、アルゼンチンのぶどうなど、様々な原料の調達においてデューデリジェンスを行ってきました。これらの経験をもとに、三井農林との取り組みで知られる課題の解決を進める方針です。
キリングループは人権に対する取り組みだけでなく、原料の生産地を守る意味でも生物多様性の保全活動にも注力しています。現在、日本に輸入されている紅茶葉の約40%はスリランカ産で、その中の約20%が「キリン 午後の紅茶」に使用されています。
さらには、2024年12月からは、レインフォレスト・アライアンスと協力し、農家自身が判断を行って再生型農業を推進するための「リジェネラティブ・ティー・スコアカード」の運用を開始する予定です。このように、スリランカの紅茶農園が直面している気候変動や土地利用の変化に対する影響を見据えた具体的なアクションも提案されています。
今後も、キリングループは環境に関連する複雑な課題に対して、多角的に取り組む姿勢を崩さず、持続可能な未来に向けて全ての関係者とともに活動を続けます。目的は、私たちの自然環境と生活が調和しながら共存することです。これからも、人々や環境に対して「ポジティブインパクト」をもたらすさまざまな取り組みを推し進めていくことでしょう。