STマイクロエレクトロニクス、シンガポールにおける研究開発を拡大
圧電MEMS技術の革新に向けて
シンガポールの半導体業界で注目を集めているSTマイクロエレクトロニクス(以下ST)は、同国において圧電MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)技術の研究開発をさらに強化する計画を発表しました。これは、A
STAR(シンガポール科学技術研究庁)のInstitute of Microelectronics(IME)とULVAC社との協力による「Lab-in-Fab」型の新たな開発ステージへの移行を意味します。
産学の協力による革新
この新たなプロジェクトは、シンガポールのASTAR物質材料工学研究所(A
STAR IMRE)及びシンガポール国立大学(NUS)との連携を深めるもので、環境に優しい鉛フリーの圧電材料を開発し、小型かつコスト効率に優れたセンサやアクチュエータの実現を目指します。このようなシステムを通じて、高等教育機関からスタートアップ企業、中小企業や多国籍企業まで、幅広い組織が製品化にかかる期間を短縮することが期待されています。
多様な電子機器への応用
STの取り組みにより、製造が期待される製品には、3Dマッピングやイメージング向けの圧電MEMS超音波トランスデューサ(PMUT)や、パーソナル電子機器向けの小型スピーカー、さらにスマートフォン用のカメラモジュールで使用される自動焦点デバイスが含まれています。
ステークホルダーの意見
STのグループバイスプレジデント兼中央研究開発担当ジェネラルマネージャのAnton Hofmeister氏は、「Lab-in-Fab 2.0において、ASTAR IMEとULVAC社との協力が進展し、新たなプロジェクトを開始することができてとても嬉しいです。これにより、次世代製品の市場投入を後押しする圧電MEMS技術のイノベーションが進むでしょう」と述べています。
A*STARのイノベーションおよびエンタープライズ担当副最高責任者であるYeo Yee Chia教授は、研究開発の成果を応用する方法に関して「私たちは、技術開発や設計などの主要イノベータ間の連携を拡大させ、高電力効率の次世代圧電MEMS製品の早期商品化を目指しています」と述べています。
シンガポールの半導体エコシステムへの貢献
Lab-in-Fabは、シンガポールの半導体エコシステムの中で重要な役割を果たしており、センサやアクチュエータ製品のメーカーとの共同研究を促進しています。これにより、圧電MEMS技術のイノベーションが支援され、研究者や企業は共同で先端技術を活用できるようになります。また、インターンシップや博士課程の研究機会を通じて、国内外の人材育成も目指しています。
確固たるリーダーシップ
STはMEMS市場のグローバルリーダーとして、過去20年以上にわたり中心的な役割を果たしてきました。デザインから製造までを一貫して行うIDM(設計・製造を担う半導体メーカー)のビジネスモデルを活用し、顧客のニーズに応える半導体ソリューションを提供し続けています。また、環境に配慮した取り組みとして、2027年までにカーボンニュートラルの達成を目指し、再生可能エネルギーの使用率を100%に引き上げる計画です。
今後の展望
シンガポールにおけるLab-in-Fab型研究開発の拡大は、同国の半導体製造エコシステムの進化に大きな影響を与えるでしょう。これにより、圧電MEMS技術がもたらす革新が加速し、企業や研究者が新たな電子機器の開発を進めるための基盤が整えられます。今後も期待されるこの取り組みは、シンガポールの研究・イノベーションの促進に寄与することでしょう。