レイチェル・ヤマガタ、10年ぶりのアルバムをリリースすることを発表

シンガーソングライターRachael Yamagata、約10年ぶりの新作を発表

ニューヨークを拠点に活動するシンガーソングライター、Rachael Yamagata（レイチェル・ヤマガタ）が、2025年10月3日に5枚目のスタジオアルバム『Starlit Alchemy（スターリット・アルケミー）』をリリースすると発表しました。この新作は彼女のキャリアの中でも特に意図的かつ映画的な構成が施されており、夢のようなアンビエントな質感や豊かなバンドアレンジ、自宅スタジオでの温かみのあるサウンドが魅力的です。

アルバムのコンセプトと新曲「Backwards」

本作は、過去の作品と異なり“日記”的な形ではなく、自己の変容を記録した作品として位置付けられています。アルバムの幕開けを飾るのは、新曲「Backwards」。この曲はヤマガタが長年温めてきたもので、かつてはミュージカルのために書かれたとされます。新たに静かな“声明”として再構築され、過去を手放す切なさや変わりゆく自分への思いを表現しています。

「すでに走り始めているけれど、まだ誰かが追いついて一緒に来てくれることを願っている」という彼女の言葉には、深い緊張感と痛みが伴っています。新曲「Backwards」は、変わりゆく人生の痛みと新たな旅路へのほろ苦い期待を込めた作品です。

アルバムの制作背景とメッセージ

『Starlit Alchemy』は、2016年にリリースされた『Tightrope Walker』以来の9年ぶりの作品であり、セルフマネージメント体制13年目のヤマガタが完全に自身の意思で制作したものです。アルバム制作は2020年以前からパンデミック期間中にかけて行われ、彼女は海外ツアーで資金を集めながら、主にキャッツキル山脈のホームスタジオで録音を行いました。特に、日本人の父とアメリカ人の母を持つヤマガタが“Yama＝山”という名前を持つ意味が如実に反映される、自己変容のプロセスそのものとしてこの作品を語っています。

ディープダイブ・レコードとしての意義

『Starlit Alchemy』は、シングルの寄せ集めではなく、あくまで「ディープダイブ・レコード」として全体を通して聴くことを意図しています。彼女は「最初から1曲が次の曲へと流れ込むアルバムにするつもりでした」と語り、体験をそのまま表現する衝動から生まれた楽曲が、一貫した物語を形成する過程を振り返っています。

進化と変容を描く

本作は、痛みを避けることなく、むしろその中で進化する様を描いています。痛み、喪失、悲嘆などのテーマが存在しながらも、体験の中で生まれる美しさが魔法であると彼女は信じています。また、このアルバムはトラウマと美しさの両立を探求する作品であり、力は降伏の中で形成されると強調しています。音楽のスタイルは、トム・ウェイツやジョニ・ミッチェル、ハンス・ジマーの影響が色濃く現れた独特のサウンドスケープが特徴です。

Rachael Yamagataの今後の展開

2004年にデビューアルバム『Happenstance』をリリースし、その後も多くの力強い作品を世に送り出してきたレイチェル・ヤマガタ。彼女はこれまで多様なアーティストと共演しながら、独自の道を切り拓いてきました。約10年ぶりの新作『Starlit Alchemy』は、彼女の音楽世界を新たな次元へと引き上げる作品であり、期待が高まります。