「3.5畳の没入空間」が示す販促手法の新たな可能性
昨今、展示会や販促イベントにおいて「没入空間」という手法が増えてきています。これは、来場者に製品やブランドの世界観に深く浸透してもらうことを目的とするものです。スーパーペンギン株式会社(東京都品川区)では、2025年3月4日から7日まで東京ビッグサイトで開催される「JAPANSHOP2024」において、まさに「3.5畳の没入空間」を設け、そのデザインの可能性を探ります。
この小さな空間には、古くから日本で使われてきた「仕切り」という考え方と「囲われている感」という二つの概念が用いられています。その結果、限られた空間でも十分に人を引き込むことができると考えられます。スーパーペンギンの竹村尚久代表は、展示会デザイナーとして、こうした空間デザインが持つ心理的な影響を強調しています。最新のテクノロジーに頼ることなく、人間の心理に基づいて空間を構成する手法は、一般にも広く理解されていく必要があります。この考え方は、未だに専門家の間でしか語られていない領域であり、それ故に一般の人々には理解されにくい状況です。
空間デザインという概念の再考
「空間デザイン」という言葉は、建築家やインテリアデザイナーの間で日常的に使われているものの、一般的には complexoで難解な概念と受け取られがちです。特に、展示会業界では多くの人々が、空間デザインを「3次元的なオブジェを作ること」と捉えている現状があります。この視点は一部正しいのですが、本来の意味を考え直す必要があります。
竹村氏は、空間における人間の心理状態を深く理解し、それに基づいた空間構成の重要性を訴えています。それにより、ただ装飾された空間が提供する体験の先に、もっと深い理解と体験が存在するとして、新たな空間デザインの可能性を示唆しています。
「没入体験」販促手法の急増
「没入体験」においては、単に製品をインストールするのではなく、用意された空間の中に人々が積極的に入り込み、体験することが求められます。この手法は、従来の空間デザインの概念が密接に関連しており、近年のインタラクティブな体験の増加にも対応しています。
特に、この手法には空間デザインの概念をさらに深化させ、進化させる余地があります。広告代理店や企業担当者が、どの程度この概念を理解し実行に移せているかは、今後の課題となるでしょう。
竹村氏は、この流れをもって「空間デザイン」という概念が一般に広がるチャンスが訪れたと考えています。多くの人々がその重要性を理解することで、市場全体が活性化し、新たな販促の手法としての位置付けが決まるという信念を持っています。
「3.5畳の没入空間」の具体的な設計
注目の「3.5畳の没入空間」では、限られた空間内でどのように外界から遮断された環境を作り上げるかが鍵です。日本の伝統的な空間構築における「結界」という概念が大いに影響しています。来場者が内部空間へ進むときに「頭を下げる」行為が、外の世界から切り替わる瞬間を表現しています。この行為は、意識を明確に切り替える手法として活用されるわけです。
このような心理的なアプローチを用いることで、限られた空間であっても強い没入感を提供できます。竹村氏は、さらなる「深化」が可能であると考え、この手法を活用した販促手法が今後も進化し続けると強調しています。
セミナーの開催
また、スーパーペンギンはJAPANSHOP会期中、セミナーを開催します。竹村氏は、3月5日(水)に商店建築社ブースに登壇し、展示会における集客方法や「3.5畳の没入空間」の設計思想を詳しく語ります。これにより、来場者は実際のデザイン手法や心理的アプローチを学ぶことができる貴重な機会となります。
まとめ
「3.5畳の没入空間」は、空間デザインと没入体験の関係性を新たに再確認する示唆に富んだアイデアです。これを通じて、より多くの人々に空間デザインの概念が理解されることを願います。今後はこの手法が市場全体でどのように広がり、発展していくのか非常に楽しみです。