マンション建替えの必要性を探る
マンションやビルの修繕工事に特化した株式会社スマート修繕が、築30年以上のマンション区分所有者を対象に実施した調査によると、約8割の居住者が建物に対する不安や問題意識を抱えていることが分かりました。同時に、建替えの必要性を感じている人は約1割にとどまり、建替え意向については条件が整えば約6割が前向きな姿勢を示した結果となりました。
調査の背景
築40年以上の老朽化したマンションは、現在全国で137万戸に上り、マンション全体の約20%を占めています。このような状況を受け、政府はマンション関連法の改正案を2025年3月4日に閣議決定し、老朽化マンションのスムーズな管理や再生を目指す取り組みを強化しています。
株式会社スマート修繕の調査は、こうした背景のもとで行われ、居住者の意向と認識を探ることが目的でした。
調査サマリーのポイント
1.
不安を抱える住民多数
約8割の居住者が自身のマンションに何らかの問題があると回答し、特に「配管や給水設備の劣化」や「全体の老朽化」に対する懸念が多く見られました。
2.
建替えの必要性は低い
必要性を感じると答えたのは約1割で、過半数は修繕や現状維持を望む意見が多く寄せられました。
3.
建替えの前向きな意向
建替えで得をする場合には約6割が前向きである一方、費用負担には消極的との結果が出ています。
4.
法改正の認知度
約半数がマンション関連法の改正について認知しており、それが建替えの議論促進に一定の効果があることも明らかになりました。
住民の具体的な意見
調査では、居住者が感じる具体的な問題点も明らかになりました。「配管や給水設備の劣化」は半数以上が懸念し、「地震対策」や「設備機器の老朽化」に対する不安も多く挙げられました。
特に高齢化が進む中、約7割が「居住者の高齢化」を重要な課題だと認識しており、管理組合の運営や修繕積立金の不足も問題視されています。
意向の変化
建替えを検討している方に「修繕ではなく建替えが必要だと感じる状況」を尋ねたところ、「全体の老朽化」は74.6%、「配管や給水設備の劣化」は60.3%との回答も多く、特に耐震性の重要視が見て取れます。
経済面での課題
調査結果からは、建替えの必要性を感じていても、費用負担の懸念が強いことが浮き彫りになりました。
特に「金銭的負担が伴う場合、どの程度の負担なら賛成か」という質問に対し、約半数が現在の修繕積立金内で賛成したいと回答。実際には、国土交通省の調査によれば、マンション区分所有者の負担は増加傾向にあるとのことです。
法改正の必要性 と今後の展望
今回のマンション関連法の改正が実施されても、合意形成や経済的な面での課題は残ります。しかし、一部の居住者は法律改正をきっかけに、管理組合での議論を活発にする意向を持っていることが分かりました。
今後の取り組み
別所毅謙氏(株式会社スマート修繕の執行役員)は、高経年マンションの資産価値向上や住環境の改善に向けて両方の選択肢である修繕と建替えの重要性を強調しています。また、住民が快適に過ごせる環境づくりのために、定期的な大規模修繕工事の実施が望まれています。スマート修繕は、居住者が最適な選択をするために情報提供や支援を行います。
今後も、サービスの拡充や、多様なニーズに応じた支援を通じて、スムーズなマンション管理と住環境の向上を図っていく所存です。
公式サービスサイトは
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