近畿圏の不動産市場の現状
2025年7月から9月の近畿圏不動産流通市場の動向が、(公社)近畿圏不動産流通機構から発表されました。全体的に見ると、近畿の2府4県では中古マンションと中古戸建住宅の成約件数がいずれも前年より増加しています。特に、中古マンションの成約件数は4,864件となり、前年同期比で17.3%の増加を記録しました。これにより、8期連続での成約件数増加となりました。
中古マンション市場
2025年の7~9月期には、市場全体で売り出された中古マンションの新規登録件数も17,260件に達し、前年同期比3.6%の増加を見せています。この成約件数の増加は近畿圏の対象12地域の全てで見られ、大阪府北部では7期連続の成約増です。また、神戸市と京都市も6期連続で成約件数が増加し、市場の活性化が伺えます。
平均成約価格は3,206万円で、前年同期比から6.2%の上昇を見せており、2期ぶりの価格上昇です。新規登録価格は3,246万円と10.7%上昇し、こちらも11期連続での価格上昇を達成しました。特筆すべきは、大阪市が40期連続で成約価格を上げていることで、依然として強い需給バランスを保っています。
中古戸建住宅市場
中古戸建住宅では、成約件数が3,452件となり、前年同期比で16.7%の増加です。また、売り出し件数も13,220件と7.7%増加しています。すべての12地域で成約件数が増加しており、大阪府の泉南や南河内地域などでは11期連続で増加が続いています。
平均成約価格は2,384万円で、前年同期比でほぼ横ばい状態ですが、新規登録価格は2,790万円と4期連続で上昇しています。成約価格には地域差が見られ、特に京都市や泉南・南河内地域では価格が4期連続で下落しているのに対し、大阪市は3期連続で値上がりしています。
市場の課題と展望
全体として、近畿圏の不動産市場は堅調に推移していますが、今後の懸念材料として景気の変動や不透明な政治情勢が挙げられます。特に、日銀の利上げや長期金利の動向は、住宅ローン金利に影響を与える可能性が高いです。これにより、都心部の取引価格や売り出し価格が上昇する傾向にある一方、郊外や戸建住宅は停滞感が強まっています。
周辺環境を踏まえた需要と供給のバランスを考察することが重要です。都心では売り出し価格の上昇が続く一方、実需主導の郊外においては需給に追いつかない可能性も指摘されています。このため、住宅市場の価格動向を見極めることがますます重要となっています。
今後の市場動向に注目しつつ、地域ごとの特性を理解することが、適切な不動産取引を行うための鍵です。市場の変化に敏感になり、柔軟な視点で取引を行うことが求められます。