株式会社NTTドコモは、NTT、Nokia、SKテレコムと協力し、次世代通信技術である6Gの実証実験を行いました。この実験では、国内で初めて34.8GHz帯の電波が使用され、AI技術を駆使した無線技術の速度向上が確認されました。特に、屋内環境でのテストにおいては従来技術と比較して通信速度を最大18%向上させることに成功したのです。
このプロジェクトでは、AIを利用した無線処理技術が中心的な役割を果たしています。具体的には、Nokiaが開発したAI技術を用い、送信時の電波伝搬環境を考慮した最適な変調方式を設計、適用することで通信用の性能を高めました。また、受信時には、従来必要だった参照信号を使わず、AIによって電波伝搬のチャネルを予測し、その結果を用いて信号を検出するという新たなアプローチが導入されました。この手法により、高い伝送効率と通信速度の向上を実現しています。
実験はNTT横須賀研究センターで行われ、実室内で電波が具体的に測定されました。試験の結果、スループット特性が6%から16%向上したほか、静止した位置での実験では最大18%の向上も確認されています。これにより、AI技術がつなぐ変復調技術が移動や静止の両環境で通信において劇的な性能改善をもたらすことが示されました。
今後、ドコモはこの技術を発展させ、多様な利用シーンに応じて電波伝搬環境に合わせた最適化を進めていく予定です。そして、国内外のベンダーや通信事業者と連携して、6Gに関するさらなる研究と技術開発を推進していきます。これにより、6G技術の標準化と実用化が加速するでしょう。6Gの未来への期待が高まる中、2024年11月には「NTT R&D FORUM 2024-IOWN INTEGRAL」で実験成果の一部を展示する予定もあり、業界の注目が集まります。
この実証実験の取り組みは、未来の通信技術を形成する重要なステップであり、エンタープライズや個人ユーザーにとっても高速かつ安定した接続を提供することが期待されます。AIを活用した無線技術の進展が、我々の生活をどのように変えるのか、引き続き関心を持って見守る必要があります。