野生動物カフェ調査
2025-10-03 13:29:01

野生動物カフェの危険性調査:衛生管理と動物接触の実態

野生動物カフェのリスクに関する実態調査



公益財団法人WWFジャパンが、北海道大学の獣医学研究院と協力して、2025年6月から7月にかけて実施した野生動物カフェに関する調査結果が最新の報告書としてまとめられました。その名も『野生動物との触れ合いの現在地』です。この調査は、東京近郊に位置する25の野生動物カフェを対象に行われ、動物の扱いや衛生対策に関する実態が明らかになりました。

調査の目的と背景



近年、コロナ禍にもかかわらず、野生動物のペット需要が高まり、特に野生動物カフェは注目を集めています。しかし、その人気の裏には、さまざまなリスクが存在しています。特に、動物の保全上のリスクや人間の健康に対する危険性が指摘されており、調査の目的はこれらのリスクを科学的に評価することにありました。

主な調査結果



1. 保全リスクの浮き彫り



調査により、展示されていた動物の中には、IUCNレッドリストで絶滅のおそれがあるとされる種(CR、EN、VU)が31種確認され、その数はおよそ15%に相当しました。また、ワシントン条約に基づく保護種が全体の64%にあたる131分類群も含まれていました。この結果は、ペット市場における希少種への需要が野生動物カフェにも影響を与えていることを示唆しています。

2. 傷害リスク



展示動物の中には、接触が特に危険とされる分類群も多く見られました。調査対象の施設の92%が、危険と思われる動物種を展示していましたが、接触の管理が不十分であることが明らかになりました。例えば、リスク軽減措置を講じている施設はわずか17%であり、多くの施設が利用者による自由な接触を許している現状があります。これにより、傷害事故のリスクが高まっています。

3. 感染リスク



調査の結果、一部施設から腸管出血性大腸菌やサルモネラ属菌などの病原菌が検出され、衛生管理における問題が浮き彫りとなりました。特に、動物との接触が多くなるほど、これらの細菌による感染リスクが高まるという構造的な問題が確認されました。実際の観察によると、手指衛生の管理も不十分で、消毒液の設置はあったものの、手洗い場の設置は半数以下でした。

調査結果に対する専門家の意見



この調査に携わった北海道大学の石塚教授は、「現在の野生動物カフェでは、適切な対応がなされていない可能性が高い」とし、今後はさらなる研究と対策の検討が必要であると述べています。また、WWFジャパンの浅川氏は、野生動物カフェが持続可能性に対する懸念を引き起こすことを指摘し、適切な動物利用の重要性を訴えています。

まとめ



WWFジャパンの調査は、野生動物カフェにおけるリスクを詳細に評価し、現状の課題を浮き彫りにしました。今後の法整備や運営の改善には、消費者や事業者の理解と協力が求められます。人と自然が共生する社会を実現するためには、さらなる取り組みが必要です。そして、今回の報告書はそれに向けた第一歩となることでしょう。


画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7

会社情報

会社名
WWFジャパン
住所
東京都港区三田1-4-28三田国際ビル3階
電話番号
03-3769-1714

トピックス(地域情報)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。