スペースシードホールディングス、インドネシアでリュウガンの分子生物学研究を開始
2025年8月、スペースシードホールディングス株式会社がインドネシアのガジャマダ大学の生物学部との間で、リュウガン(Longan)の分子生物学に関する研究協議を行ったことが発表されました。この重要なプロジェクトには、インドネシアの企業PT AWINAのCEOであるアナンダ・セティヨ・イバンナント氏と、UGMのBudi S. Daryono教授、Eko Agus Suyono教授が参加しました。
研究の概要と目的
スペースシードホールディングスは、UGMが新設したIntegrated Genome Factory(IGF)で、リュウガンの品種「New Crystal」について、ゲノム解析と遺伝子発現のプロファイリングを行う予定です。この国産改良品種の研究は、インドネシアの農業技術の発展と、収益性の向上を目指したものです。
UGMのFaculty of Biologyでは、リュウガン栽培に必要な実験用圃場や、研究に必要な先進的な計測器が整っており、Oxford Nanopore TechnologiesのシーケンサーやGPU計算環境を活用したマルチオミクス研究が行える体制が整っています。これらの施設を活用することで、より深い科学的理解に基づいた農業技術の進化が期待されています。
UGMとAPKMの連携
また、スペースシードホールディングスは、APKM(Asosiasi Petani Kelengkeng Mandiri)との協議も行い、ジョグジャカルタ地域の産業振興を進めるモデルを構築しようとしています。このモデルは、栽培における標準作業手順書の整備、人材育成、観光や加工業、さらには機能性評価までを含む、包括的なものです。さらに、その科学的基盤を強化するための研究開発の可能性も確認されています。
IGFの役割
UGMのIGFは、2024年9月にローンチを予定しており、UGMにおけるマルチオミクス研究の中核拠点となることが期待されています。この施設は、最大720Gb/日のシーケンス能力を持つONT PromethION 24や、PacBioシーケンサーを備え、データ取得ユニットやオートメーション装置も整備されています。
スペースシードのビジョン
スペースシードホールディングスの代表取締役鈴木健吾氏は、「IGFの技術とUGMの研究フィールド、PT AWINAの実行力を組み合わせることで、リュウガンの栽培において“おいしさ、収益性、機能性”を同時に向上させるネットワークを構築できると信じています。New Crystalの分子理解を深め、栽培技術の向上、さらには加工と機能性評価を行い、ASEANと日本をつなぐ循環型フードモデルの実装に貢献したいと考えています」とコメントしています。
PT AWINAの取り組み
インドネシアのPT AWINAは、再生可能エネルギーと廃棄物管理に焦点を当てており、SDGsに関連する地球規模の課題について社会に貢献することを目指しています。再生可能エネルギーの分野では、マイクロ風力や太陽光発電を含むソリューションを提供するほか、有機廃棄物の資源化や市場調査など、広範な業務を展開しています。
結論
この共同研究は、リュウガンを中心とした新しい農業技術の開発につながるだけでなく、インドネシアと日本の農業連携の新たなモデルを示唆しています。今後の研究結果に期待が寄せられています。