てんかんスマート医療共同研究講座(第Ⅱ期)の始まり
新しい支援システムの誕生
2025年4月、大塚製薬、eMind、東北大学の共同による「てんかんスマート医療共同研究講座(第Ⅱ期)」が始まります。この研究は、てんかん患者の生活の質を向上させるため、デジタルデバイスとAI技術を駆使した支援システムの開発を目指しています。
研究の背景
近年、スマートフォンやウェアラブルデバイスの普及率が飛躍的に向上しました。特に2021年には世帯保有率が97%を超え、これらのデバイスから得られるデータは人々の行動や認知とも深く関連しています。このような背景の中、2022年には「てんかんスマート医療共同研究講座(第I期)」が設立され、eMindのAI技術を用いててんかん患者のサポートを図る研究が始まりました。
先進的な研究成果
第I期では、eMindがデジタルデバイスから収集したデータを基に、てんかん患者の身体的・精神的健康を支援することが目的とされました。2023年4月からは、東北大学病院の入院患者を対象に、日常生活のデータをAIが解析することで、てんかん発作の予知や心理状態を理解するモデルを確立。2024年5月には、その成果としててんかん発作予測モデルに関する特許を取得する予定です。
さらに、「AnyTalk」というアプリ内機能を通じて、患者の治療や服薬の遵守を支援。ユーザーが日々の経験を記入することで、認定された心理サポーターからの適切なフィードバックを受けられる仕組みがあります。この機能は患者のQOL向上や孤独感の軽減に貢献しており、高い評価を得ています。
共同研究の目的と今後の展望
第Ⅱ期の研究は、第I期での成果を基に、大塚製薬のデジタルソリューション部門とも連携を強化。より社会への実装を意識した研究活動を進め、患者の体験価値を向上させることを目指しています。この共同研究は、デジタル革新を通じて、てんかん患者のQOLの向上に寄与することが期待されています。
研究チームの紹介
本研究のリーダーは、東北大学医学系研究科教授の遠藤英徳氏、eMind取締役COOの古村智氏、大塚製薬ポートフォリオマネジメント室の大西弘二氏です。
東北大学病院てんかん科の役割
東北大学病院てんかん科は、2010年に設立以来、国内の大学病院として先駆的な取り組みを行ってきました。特に患者との新しいコミュニケーション手法や疾患管理へのアプローチが評価されています。心理社会的問題の解決に向けた研究や教育活動も展開し、地域のてんかん治療の中心的な役割を担っています。
まとめ
「てんかんスマート医療共同研究講座(第Ⅱ期)」により、革新的なデジタル技術を活用したてんかん診療の向上が期待されます。患者たちの生活の質を高めるための新しい取組みが進む中、医療現場とIT業界の結びつきが今後ますます重要になるでしょう。