静かな退職が示す企業への警鐘
最近の調査によれば、約4割の正社員が『静かな退職』状態であることが分かりました。これは、退職を考えてはいないものの、仕事に対してあまり積極的ではない状態を指します。この状況は、企業のパフォーマンスや活力に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
調査概要
調査を実施したのは、人事プロフェッショナルブティック「CORNER」を運営する株式会社コーナーです。正社員413名を対象にしたこの調査では、社員の仕事への向き合い方や不満点に焦点が当てられています。調査期間は2025年5月2日から9日までで、サンプル数は413名に上ります。
離職理由の傾向
調査結果からは、離職を考える要因として「給与」や「評価基準」に対する不満が最も多く挙げられました。さらに、この不満は年代によって異なる傾向が概観されています。
- - 若手層(20代): 日常業務の快適性に対する不満が目立つ。
- - ミドル層(30〜40代): 柔軟性の欠如やキャリアアップへの不安が主な不満点。
- - シニア層(50代): 経営陣の意思決定に対する不満が顕著。
静かな退職の要因
静かな退職層は、就業におけるモチベーションやエンゲージメントが低下している状態です。具体的には、年齢層に応じて不満の内容が異なるものの、共通して「給与」や「評価」に関する問題が指摘されています。そして、組織全体への信頼感の欠如や将来性への不安も静かな退職層の特徴として浮かび上がっています。
ワークスタイルの影響
ワークスタイル別に静かな退職層の割合を見てみると、リモートワークをメインに行っている人の中では、およそ半数が静かな退職状態にあることがわかります。このことから、リモートワークの環境下での人間関係や信頼の形成に課題があることが考えられます。一方、ハイブリッド型の勤務を行う社員は、コミュニケーションのバランスが取れやすく、静かな退職層の割合が最も低いことが示されています。
組織文化と信頼形成
状況から見えるのは、企業が抱える人事的な課題です。調査によれば、多くの社員が給与や評価だけでなく、企業ビジョンや価値観への共感欠如がモチベーションに影響を及ぼしていることが浮き彫りになりました。特に、リモートワークでは、物理的な距離や情報の不均衡からこの問題が深刻化しています。
結論: 人事の役割
企業としては、静かな退職状態を見過ごさないことが重要です。人事部門は組織の働く意義や将来像をしっかりと伝える必要があります。単に制度や待遇の見直しだけでなく、社員が安心して働ける環境を作り上げることが求められています。今後も進行する調査に目を向け、課題解決に向けた施策を実施することが急務です。