金融庁の新たな資金決済制度に向けたワーキンググループの進展
新たな資金決済制度に向けた議論の展開
金融庁が主催する「資金決済制度等に関するワーキンググループ」の第5回会合が、令和6年11月21日に開催されました。一連の議論を通じて、暗号資産や電子決済手段に対する規制の見直しと、新たな業態の創設についての提案がなされました。
1. ワーキンググループの目的
このワーキンググループでは、急速なデジタル化に伴う資金決済の新しい形態や、それに対する適切な規制を検討することが目的とされています。特に注目を集めているのは、暗号資産や電子決済手段を扱うための仲介業者の新設や、所属制の採用についてです。
2. 議論された内容
会合では、暗号資産取引や電子決済に関する事業者からのヒアリングを受け、実務上のニーズに即した規制についての議論が行われました。特に、事業者が暗号資産の媒介を行う際に求められる法的枠組みが重要視されています。特定の実務に対してどのような規制が適切なのか、委員からの意見が交わされました。
2.1. 所属制の採用
所属制を採用することによって、仲介業者に対して暗号資産交換業者が指導・監督できる仕組みが提案されました。これにより、ユーザーの資産に対する保護が図られると同時に、仲介業者の業務態度が向上することが期待されています。ただし、金融サービス仲介業者の監督実態に鑑み、規制の実効性について疑問の声も寄せられました。
2.2. 電子決済手段の発行
また、預金取扱金融機関による1号電子決済手段の発行についての慎重な姿勢も示されました。ニーズが乏しい現状において、発行に際しては十分な市場環境の変化を見極める必要があり、将来的に議論が続くこととなるでしょう。
2.3. 新たな業態の創設
新たな暗号資産・電子決済手段仲介業の創設は、特に消費者保護の観点から重要とされ、専用のガイドライン作成の必要性が強調されました。仲介業者は、ユーザーに対して透明性を持ち、適切な情報提供を行う義務を持つべきです。これにより、暗号資産市場の信頼性向上が期待されます。
3. 次のステップ
今後は、各論点に基づき、具体的な規制案の詳細を協議し、実施に向けた準備が進められます。特に、暗号資産の取引が一般化する中で、法的枠組みの明確化は急務とされています。金融庁は、これらの議論を経て、制度設計を練り上げていく方針です。
まとめ
今回の会合は、暗号資産や電子決済手段の安全な利用推進に向けた重要な一歩となりました。今後の規制強化により、利用者保護と業界の健全性が一層高まることが期待されます。金融庁はさらなる議論を続け、次回のワーキンググループでの進展に繋げていく意向を示しています。