日本のイノベーションを加速する新たな戦略「Innovation Outlook」発表

日本のイノベーションを加速する新戦略

NEDO（新エネルギー・産業技術総合開発機構）が新たに発行した報告書「Innovation Outlook Ver.1.0」は、日本が今後取り組むべきフロンティア領域や、強化すべき領域を提示しています。この報告書は、国内外の市場や技術、政策動向を俯瞰し、革新のための戦略を打ち出すことを目的としています。

1. 「Innovation Outlook」の背景

NEDOのイノベーション戦略センター（TSC）は、2014年に設立以来、日本の産業競争力の向上やエネルギー・環境問題の解決に向け、さまざまな調査や分析を行ってきました。これまでの改革努力により、社会へ貢献する多くの成果を上げてきましたが、最近の世界情勢の急変に伴い、従来の技術開発支援に加え、早期の産業化や社会実装を促進する「トランスフォーマティブ・イノベーション」が求められています。

そのため、NEDOは2024年度からの活動として、「Innovation Outlook」を策定し、初版を発行しました。この報告書は、技術を用いた解決策だけでなく、社会的なニーズや課題にも注目し、持続可能な発展のために新たな機能や価値の提供を考慮した分析を行っています。

2. 「Innovation Outlook」の成果

今回の「Innovation Outlook」によると、国内外の多様なニーズに応えるため、13のフロンティア領域が提案されています。これらの領域は、日本の強みや経済安全保障に基づいて選定され、将来性や革新性が期待されるものです。具体的には、MFT（Mission/Market、Function、Technology）ロジックモデルを活用し、社会的な課題を解決するための技術とその機能を統合的に分析しています。

不確実性やリスクが伴うフロンティア領域は、民間企業だけでは進行が難しいため、国としての重点投資が必要とされています。このような背景から、NEDOはこれらの領域の推進を通じて、社会システムの変革や新たな産業の創出を目指しています。

3. 今後の展開

「Innovation Outlook」では、提案したフロンティア領域の実現に向けて、産業界やアカデミア、スタートアップからの広範な協力を求め、革新的な研究課題を募集します。この取り組みを通じて、日本の産官学が一体となって社会課題に立ち向かうことが期待されています。

また、提案された領域については、国家プロジェクトとしての推進や民間事業としての実施を検討し、フィジビリティスタディを基に評価を行うことが計画されています。各領域では、解決策を広く募集し、それに基づいて取り組むべき研究課題を仮説として示し、イノベーション戦略を形成していく方針です。

「Innovation Outlook」の継続的な更新により、さらなるイノベーションの促進が図られるとともに、次世代の希望となる情報源としての役割とも期待されます。NEDOは、本日より有望な研究開発テーマの提案を求めるRFI（Request For Information）も開始し、積極的な提案を呼びかけています。