音楽の新たな扉を開く
打楽器奏者でありながら作曲家としても活動する會田瑞樹が、ついに二つの大作を世界初演します。今回の作品は、約100年前に北原白秋が自ら翻訳した詩集『まざあ・ぐうす』と、古くからリトアニアに伝わる民謡をもとにしたものです。これにより、過去と現在が交差し、音楽の新たな可能性が探られることとなります。
北原白秋の詩と其の影響
北原白秋は、大正時代に身を置き、その浪漫的で叙情的な詩風で知られています。彼が英語の『まざあ・ぐうす』を翻訳し、アルスから出版したものは、日本国内で最古の完全な翻訳版とされています。この詩集は戦後の谷川俊太郎の訳とは異なり、特有の時代背景の中で生まれた情緒が色濃く反映されています。
會田瑞樹はこの作品に魅了され、音楽で表現することを決意しました。特に、歌手の渕田嗣代と共に価値ある音楽作りを推進し、ピアノやヴァイオリン、打楽器が織りなす独自の音楽体験に挑戦しています。演劇やパフォーマンスを取り入れた「見世物小屋の復権」を試みる意気込みは、21世紀の新しい音楽シーンに期待を寄せるものです。
リトアニア民謡の魅力
リトアニア民謡「クリスマスの朝、薔薇が咲く」は、リトアニアの建国神話を歌ったもので、古い記憶を呼び起こさせるような懐かしさと寂しさを感じさせる作品です。この名曲は、世界中で親しまれ、會田はこの旋律を元に幻想的な変奏を重ね、弦楽オーケストラのために新たな作品を創作しました。
彼は2018年にリトアニアを訪れた際、現地の人々から熱烈な歓迎を受け、その影響を受けて作品創りに励むようになりました。2020年には杉原千畝へのオマージュを含む《Sutartinés》を発表し、リトアニアとの親善を意識した作品として高い評価を得ています。
終わりに
音楽は時代を超え、人々の心をつなげる力を持っています。會田瑞樹の新作がそのことを証明する一歩となるでしょう。今後の展開に大いに期待が寄せられます。興味を持たれた方は、この貴重な音楽体験をぜひ体感してください。詳細は公式ページでご確認いただけます。
伝承の調べが紡ぐ世界 |
リトアニア聖クリストファー室内合奏団