2023年10月3日、東京・三越劇場でノサカラボによる舞台『ゼロ時間へ』がスタートしました。この作品は、推理小説界の巨星アガサ・クリスティーの同名長編小説を基にした、緊張感あふれるミステリーです。特に、クリスティーがこれまでのミステリーの常識を打ち破って描かれた独特なストーリーラインは、多くの観客の心をつかんでいます。
今回の公演は、10月9日まで東京で行われ、その後、10月13日と14日には大阪のCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで上演される予定です。演出を手掛けるのは、ノサカラボ代表の野坂実氏。彼は、ミステリーとコメディを巧みに組み合わせることで知られています。
物語の舞台は、イギリスの田舎にある貴族の邸宅。レディー・トレシリアンが約束した人々が集まる中で、青年貴族ネヴィルがその妻ケイと前妻オードリーを一同に呼び集めることで、緊迫した空気が漂います。そして、何者かによってレディー・トレシリアンが命を奪われる事態が発生し、彼女の死は謎を呼ぶことになります。
原嘉孝が演じるネヴィルは、スポーツマンでありながら、愛憎の狭間で揺れる複雑なキャラクターです。彼の前妻オードリーを演じる紅ゆずるは、愛に戸惑う姿を見事に表現し、鳳翔大が演じる現在の妻ケイもまた、華やかさの裏に潜む不安を巧みに演じます。このキャストの組み合わせが、舞台に深みを与えています。
その他にも、個性的なキャラクターが多数登場します。例えば、ケイのボーイフレンドを演じる水石亜飛夢は、見た目はプレイボーイだが意外な誠実さを持つ役を担い、岡部麟が演じる若い家事担当者メアリーは、自分の夢を諦めているような切ない姿を見せます。また、冷静な観察者である元弁護士トリーヴズ役を演じる中尾隆聖は、物語の進行役として効果的な役割を果たします。
さらに、事件の捜査を担うバトル警視とリーチ警部は、細見大輔と大髙雄一郎が演じ、その経験豊富な叔父と若い甥のコンビは、舞台にさらなるスリルを加えています。
この『ゼロ時間へ』の魅力は、観客がストーリーを推理する楽しみがあるところです。一幕目で巧妙に張り巡らされた人間関係の罠が、レディー・トレシリアンの死によって一気に表面化しますが、真相が明らかになるまで二転三転する展開は、まさにアガサ・クリスティーの真髄を感じさせます。ラストシーンで明らかになる『ゼロ時間へ』の意義には、衝撃とともに感動すら覚えること間違いなしです。
また、特に注目なのが公演のパンフレット。舞台の興奮を更に引き立てる仕掛けが施されていますので、ぜひ手に取ってページをめくってみてください。
初日公演前には、キャストたちによる公開ゲネプロも行われ、役者たちの生の声が観客の期待を一層高めました。原嘉孝は、役に対する情熱を語り、紅ゆずるは、異なるキャラクターを演じる難しさを語り、鳳翔大は人間ドラマの新鮮さを強調しました。そして、一色洋平は自身の演じる役の共通点を見出し、親しみやすさを感じています。
『ゼロ時間へ』は、多くのファンに愛される作品となることでしょう。ぜひ劇場で、アガサ・クリスティーのミステリーの醍醐味を体感してください。チケットは既に販売中で、都心の劇場で一味違ったエンターテインメントを楽しむ絶好の機会をお見逃しなく!