新卒エンジニア採用の厳しい現実と企業の挑戦

近年、新卒エンジニア採用を実施する企業の約35％が、2025年卒業予定の新卒採用目標を達成できていないことが明らかになりました。レバテック株式会社が実施した調査によれば、新卒エンジニアの採用に力を入れている企業は全体の約80％を超えており、その理由には「中途の即戦力採用が難しくなっている」ことや、「社内に教育体制が整っている」ことが挙げられています。

新卒エンジニア採用の現状

調査によると、新卒エンジニア採用を行っている企業の35％が採用目標人数を下回っており、さらに約37％が当初のエントリー目標数にも達していないとされています。この結果から、多くの企業が新卒エンジニア採用に苦戦している状況が読み取れます。特に、新卒エンジニアの採用に注力する企業が多いにもかかわらず、実際には目標人数を確保できないという大きなギャップが存在しています。

インターンシップの重要性

採用直結型インターンシップが本格的に開始されたこともあり、企業はインターンを通じて学生との接点を増やしています。2025年卒業予定の学生を対象にした調査では、53.3％の企業がインターンを行い、そのうち約9割が参加学生に内定を出していることがわかりました。このことからも、インターンシップが新卒採用において重要な役割を果たしているといえます。

インターンに参加した学生の約60％が、参加した企業から内定を得ており、インターン参加の動機には「内定を獲得するため」が最も多く挙げられています。企業はインターンを通じて、学生の実践的なスキルや適応力を見極めながら、効率的に人材を採用することができるようになっています。

早期退職を防ぐための取り組み

新卒エンジニアの早期退職を防ぐため、企業が2025年卒の採用で取り組む項目として最も多かったのが「初任給の引き上げ」で、42.5％の企業がこの施策を実施しています。次いで「研修期間を十分に設ける」（41.7％）や「勤務地やエリアの配属を学生の希望に基づく」（35.8％）などが続いています。これにより、新入社員が長期間にわたって定着できるような環境を整える動きが見られます。

多くの企業は新入社員の待遇改善やフォロー体制の強化を図っており、これにより優秀な人材を獲得しても、スムーズに職場に馴染むことが期待されています。

企業の困難と泉澤氏のコメント

レバテックの執行役員である泉澤氏は、今回の調査結果について「新卒エンジニア採用に関して多くの企業が苦戦している状況が分かった」とコメントしています。また、採用直結型インターンの実施が新卒の採用活動に与える影響についても、ますます重要度が高まっていると語ります。インターンを通じて企業と学生の接触が早まることで、より良いマッチングが形成されることが期待されています。

このように、新卒エンジニア採用を巡る現実は厳しいものですが、企業は新たな取り組みを通じて状況の改善を目指しています。今後もインターンの役割や待遇面の見直しが、エンジニア採用のカギを握ることになるでしょう。