高齢者の自立支援を目指す運動支援システムの実証実験結果
2023年、福祉・介護向けの新たな運動支援システム「TANO+」を用いた実証実験が、横浜市の有料老人ホーム「イリーゼ横浜旭」で行われました。このプロジェクトには、TANOTECH株式会社とHITOWAケアサービス株式会社が共同で取り組み、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けました。
TANO+とは?
TANO+は、TANOTECHが開発したロボット介護機器として機能向上を目指したツールです。このシステムは、日常生活動作(ADL)機能の向上やフレイル予防を目的としており、レクリエーションを通じて高齢者が楽しく運動できる環境を提供します。今回の実証実験では、特に運動機能や口腔機能の改善に焦点を当てています。
実証実験の概要と結果
実証実験は昨年12月に開始され、22名の65歳以上の高齢者を対象に、週1〜3回、30分間のレクリエーション運動が行われました。この運動プログラムでは、参加者の運動機能が測定され、参加前後での改善効果が分析されました。
具体的には、「5回立ち上がりテスト」と「タの発声回数」という二つの評価項目が用いられました。その結果、週に2回以上運動に参加した12名は、立ち上がりテストの時間が22.9秒から13.6秒に短縮され、発声回数は13.1回から20.4回に増加しました。このように、TANO+を用いた運動プログラムが運動機能や口腔機能の向上に有意な効果を示すことが確認され、今後の実用化に期待が寄せられています。
HITOWAケアサービスの取組み
HITOWAケアサービスは「イリーゼ」シリーズを運営し、介護現場での実践的な改善に積極的に取り組んでいます。「TANO」がAMEDの事業に採択されたことを受けて、TANOTECHとの協力を深め、介護現場での日常的運動が習慣化できるような取り組みを推進しています。特に、運動の習慣化のためにコミュニティを形成し、楽しみながら参加できる環境づくりを目指しています。
未来の展望
今後の展開として、TANOTECHはゲーミフィケーションを利用して、より楽しく自発的に参加したくなるようなプログラムを構築する方針です。また、新たなコミュニケーションの場を提供するためのロボット開発も進めており、介護者の負担軽減に寄与することを目指しています。これにより、高齢者の自立支援や健康増進に向けた取り組みがさらに進化することが期待されています。
今後も、介護の現場から得た知見を活かしつつ、TANOが持つ機能と可能性を最大限に引き出すことで、高齢者がより快適な生活を送れるような支援を続けていく考えです。今後の実証実験の成果が、より多くの高齢者に役立つことを願っています。