QunaSysがIBMのQiskit Functionsに新たに追加したQURI Chemistry
量子コンピューティング分野でのリーダーシップを確立しているQunaSysが、IBMの新しいプラットフォームQiskit Functions Catalogに自社の量子化学ツール「QURI Chemistry」を登場させました。この発表は、量子コンピュータの実用化を目指した重要なステップであり、今後の材料開発に大きな影響を与えることが期待されます。
QURI Chemistryの開発背景
QunaSysは、量子コンピュータユーザーコミュニティ「QPARC」の設立を通じて、50以上の企業から得た貴重な洞察を反映したツールとしてQURI Chemistryを開発しました。さらに、顧客企業や研究機関との共同プロジェクトを通じて取得した多くの経験を活用し、このツールを強化しています。特に、従来の手法である変分量子固有値解法(VQE)に代わる新たな手法、Quantum-Selected Configuration Interaction (QSCI) メソッドを搭載し、より高い計算精度を実現しました。
アクセスしやすさの追求
量子コンピュータの利用がまだ一般化していない中、QunaSysはエンドユーザーがQiskitをゼロから学ぶのではなく、より簡単に使えるツールを提供することにフォーカスしています。QURI Chemistryでは、最新のアルゴリズムを抽象化し、使いやすさを向上させています。これにより、ユーザー企業はIBMの量子コンピュータの力を活かし、化学や材料のイノベーションを加速させることができます。
IBMとの連携による進化
IBMが量子コンピュータの性能を向上させる中、QURI Chemistryもそれに併せて最適化され続けます。IBMの新たな開発が進む中、ワークフローの構築や実行にかかる時間が短縮され、量子技術を使った革新がますます現実味を帯びています。IBMフェローのジェイ・ガンベッタ氏は「分子の基底状態エネルギーの探求は化学の根本的な課題です。QURI ChemistryがQiskit Functions Catalogに加わったことで、ユーザーはこの重要な課題に取り組む機会が得られます」と述べています。
量子技術へのアクセスを簡素化
QunaSysのCEO、楊天任氏は「QURI Chemistryは複雑なアルゴリズムを視覚化することで、量子コンピューティングの利用を容易にします。このIBMとのパートナーシップにより、企業は量子技術を迅速に取り入れることが可能になります。ユーザーが慣れ親しんだインターフェースを維持しつつ、機能強化を進めていきます」と語っています。
Qiskit Functionsの重要性
量子コンピュータのアルゴリズム開発は、今後の技術発展において不可欠です。IBMは2029年までに大規模な誤り訂正システムを実現するためのロードマップを描いており、QunaSysを含む多くのグローバルパートナーと協力しています。新しい量子アルゴリズムの開発が進む中、QURI Chemistryは化学および材料分野での革新を推進する役割を担います。
QURI Chemistryの将来
QURI ChemistryはQiskit上で使用でき、IBM Quantum Networkの250を超えるメンバーにサービスを提供します。これにより、メンバーはQURI Chemistryを通じて化学や材料分野における量子ワークフローを加速させ、実用化への道を開くことができます。今後も、QunaSysは量子アルゴリズムの実用化を支援する重要な役割を果たすことでしょう。ユーザーは、よりシンプルで効果的な道を歩むことが期待されています。
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