大阪・関西万博が描く未来社会のビジョンと地域の力を引き出す場創り
間もなく開催される大阪・関西万博は、未来のライフスタイルや社会の在り方を提案する重要なイベントとして、国内外で注目されています。この万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。このテーマの下、大阪・関西万博のテーマ事業プロデューサーである小山薫堂氏と、JCDの藤原卓行社長との対談が行われました。本記事では、彼らが語る「人を惹きつける集まる場の力」について詳しく見ていきましょう。
万博と食の重要性
小山氏は、万博のテーマに病気や不安から解放され、いのちが輝く社会について考えている時に、食がその重要なテーマであると感じたと語ります。「食は誰もが直面するテーマであり、楽しみながら考えられる」と小山氏は述べました。新たに設置される食のパビリオン「EARTH MART」では、食を通じて「いのち」を意識する機会を作ろうとしています。
「いのちのフロア」では、人間が存続するためにどれだけの命をいただいてきたかを実感させる展示が行われ、具体的な例として日本人が一生で食べる卵の数や、ミツバチの命を重ね合わせた展示が数多く紹介されます。このことで、私たちが普段何気なく享受している食には、数え切れないほどの命が関わっていることを考えるきっかけを提供しています。
未来への展望
一方、藤原社長は「未来のフロア」に注目し、食材や調理法の進化に関する新しい技術やプロジェクトの紹介が行われることで、未来の食文化がどう変遷していくかを考える重要性を語りました。ここでは「EARTH FOODS 25」というプロジェクトを通じて、25種類の食材や調理法を紹介し、その背後にある日本の知恵や文化が未来にも生き続けることを願っています。
地域との関わり
万博が地域に与える影響について、藤原氏は堺伝匠館の事例を挙げ、地域の伝統産業を保持しつつ、新たな観光資源の価値を高めることの重要性を強調しました。このような地域密着型の取り組みは、万博を通して依然として継続するべきで、観光業と地域経済が共に成長し続けるために欠かせない要素です。
身近な体験の重要性
また、訪日外国人向けの体験価値の提供についても話題に上り、今後の観光施策においては、「ただ訪れるだけではなく、体験を重視する」ことが求められています。藤原氏は「手を動かす体験」を設けることで、訪問者により深い印象を与えることが可能であると述べ、小山氏も同意しました。
未来へつながる記憶
小山氏の発案による「2050年にもらえる梅干し引換券」は、万博の記憶を未来に繋ぐユニークな試みです。この梅干しは、万博期間中に仕込まれ、未来の自分や家族と結びつく手段として位置づけられています。これにより、単なるお土産にとどまらない持続的な関係性を生むことが期待されています。
結論
今回の対談は、大阪・関西万博が示す未来のライフスタイルと、それに伴った地域活性化の視点を探る内容でした。万博は単なるイベントにとどまらず、次世代への大きな影響をもたらす存在であることを、小山氏と藤原氏の言葉から強く感じました。社交の場として、また新たな価値を創出するための場として、万博の成功の鍵はこの対話の中に凝縮されています。