宮崎の宝、日向備長炭の新たな展開
日向備長炭は、日本三大備長炭として知られ、特にその製造技術は美郷町に伝わる伝統文化です。しかし、その名は全国的にはあまり知られていないのが現実です。実際、2024年に実施した簡易調査によれば、日向備長炭を認知している住民は10人中3人程度という結果が報告されました。
この状況を打破すべく、宮崎県日向市に拠点を持つ「ひむかのともしび」は、日向備長炭を毎日の生活に取り入れられるプロダクトとして展開しています。浄水用と炊飯用の炭を日用品として販売し、地域の文化を未来に繋げる努力をしています。
輝きを放つ伝統技術
日向備長炭は、紀州備長炭や土佐備長炭と並ぶ日本三大備長炭の一つで、美郷町の炭焼き技術は宮崎県の無形民俗文化財にも認定されています。この備長炭の製造には、アラカシという広葉樹を原木として使用し、従来の窯炭とは異なる「小窯」で独自の乾燥工程を経ています。東京や京都の料亭でも重宝されるその特性は、長時間火を保つことで知られています。
しかし、良いニュースばかりではありません。昭和初期には500以上の炭窯が存在したのに対し、現在ではその数は大きく減少し、職人の数もわずか30人程度にまで減少しています。それに伴い、炭焼きの技術と文化が消えつつあるという危機感が高まっています。
ひむかのともしびの取り組み
「ひむかのともしび」は、地元の福祉事業所との連携により、炭のパッケージングを行っています。これにより、森と文化、福祉を繋ぐ循環型の生産モデルを作り出しています。炭をただ守るのではなく、日常生活の中で使用してもらうことで、伝統文化を次世代へと繋げていくことがこのブランドの目標です。
浄水用日向備長炭
浄水用日向備長炭は、60gのサイズで、水道水を一晩置くだけで飲みやすく改善されます。3か月間の使用が可能で、その後は脱臭剤としても再利用できます。また、木炭の特性を活かす研究では、水質改善に寄与することも報告されています。
炊飯用日向備長炭
炊飯用日向備長炭は、お米と一緒に炊くだけで使用できます。この炭を使うことで、米飯の弾力が増し、食感が良くなることが研究で示されています。こちらも3か月の使用後は、脱臭アイテムとして再利用可能です。
サステナブルな未来へ
ひむかのともしびでは、健康、エコ、文化継承、福祉の四つを軸に、日向備長炭を新たな宮崎の名産として広めていきます。宮崎牛や太陽のタマゴに続くブランドとして、今後はギフト需要に応じた商品展開や宿泊施設、飲食店とのコラボレーションも計画しています。
「日向備長炭」はただの炭ではなく、地域の文化を守りながら私たちの暮らしに彩りを加える存在です。これからも「ひむかのともしび」を通じて、皆さんにその魅力を届けていきたいと考えています。
会社概要
- - 社名: ひむかのともしび
- - 所在地: 宮崎県日向市平岩
- - 代表: 臼井 寛宗
- - 設立: 2024年7月30日
- - 事業内容: 日向備長炭の製造・販売
- - HP: ひむかのともしび公式サイト