ポリネシア航海協会の新たな航海計画
ポリネシア航海協会(PVS)は、米国海洋大気庁(NOAA)の最新の気候予測を踏まえて、重要な航海計画の見直しを行うことを発表しました。これは、エルニーニョ現象や気候変動の影響が西太平洋地域の気象リスクを高めているためです。その結果、以前のスケジュールから約1年間延長され、日本への寄港予定が2028年に変更される見通しです。
NOAAの予測とその影響
最近のNOAAの国立気象局気候予測センターの報告によれば、エルニーニョ現象が2027年春まで継続する確率は97%であり、特に2026年の秋から冬にかけて、非常に強いエルニーニョとなる確率が81%に上るとされています。このエルニーニョは、過去75年間の中でも最大級の規模になる可能性があり、これにより西部北太平洋では危険な気象条件が発生するリスクが懸念されています。
PVSのCEOであり、伝統航海師ナイノア・トンプソンは、「航海に適した風が期待できないだけでなく、台風の発生リスクも非常に高まります」と述べ、気象の変化に警戒する重要性を強調しました。彼は、「私たちは、あらゆるリスクを総合的に評価するための安全基準に基づいて慎重に判断しています」と続けました。
航海計画の見直し
オリジナルの計画では、「ホクレア(Hōkūleʻa)」と「ヒキアナリア(Hikianalia)」のカヌーは、2027年に北海道まで航海する予定でした。しかし、乗組員の安全を最優先に考えるPVSは、南半球での航海を続けた後、2028年に北東アジアへ向かうことを決定しました。この2隻のカヌーは、今後アオテアロア(ニュージーランド)に滞在し、文化交流を深める予定です。
トンプソンCEOは、「私たちが進むべき道は、自然が教えてくれます。自然が航海を許すその時が来るまで待たなければなりません。これは単なる『延期』ではなく、私たちの伝統的な考え方です。」と語りました。また、今後17か月の間に、両カヌーはpre-COP国際海洋・気候会議に参加し、再びアオテアロアやクック諸島を訪問することが計画されています。
未来への期待
PVSによる今回の航海計画の見直しは、航海を中断することなく、地域社会や教育機関との文化交流を促進し、気候変動に対する協働の取り組みを強化する機会となります。2028年には、ミクロネシアを出航し、フィリピン、台湾、日本、韓国へ向かう計画が進行中です。
注目すべきは、自然の変化を観察し、安全基準に沿った判断が求められる中で、PVSはその精神を重視している点です。「もはや『平年どおり』というものは存在しません。私たちは、自然が許す範囲でフレキシブルに計画を調整し、乗組員の安全を守ることを使命としている」とトンプソンは強調しました。
最後に、日本の関係者や地域の皆さまへの感謝の意を込めて、「私たちはスケジュールを優先するのではなく、海が教えてくれるタイミングを重視して航海に出るのです。皆様のご理解と支援に心より感謝いたします」と述べました。
参考リンク
PVSは、1973年に設立され、伝統的なポリネシア航海術を保存し、継承することを目指します。ノンサポート型のナビゲーションを用いて、数十年にわたり世界中の海を航海し続け、その過程で環境保護や文化的誇りをも広めています。